相続した実家や長年使っていない空き家を売りたいと思っても、「何から始める?」「どこに相談する?」「片付けや解体は先に必要?」と迷う方は多いでしょう。
空き家売却は、基本的には名義や物件の状態を確認 → 査定 → 不動産会社選び → 媒介契約 → 売却活動 → 売買契約 → 決済・引き渡しという流れで進みます。

空き家売却は、最初に「名義」「建物の状態」「現在の相場」を確認しておくと、その後の手続きが進めやすくなります。
| 売却の段階 | すること |
|---|---|
| 売却前 | 名義・相続関係・建物状態を確認 |
| 査定 | 不動産会社へ査定を依頼して相場を把握 |
| 不動産会社選び | 査定根拠・実績・担当者を比較 |
| 媒介契約 | 売却を依頼する不動産会社と契約 |
| 売却活動 | 広告・内覧・条件交渉 |
| 売買契約 | 価格・引き渡し条件などを確定 |
| 決済・引き渡し | 残代金受領・所有権移転・鍵の引き渡し |
この記事では、空き家を売ると決めた人向けに、査定から契約・引き渡しまでの具体的な手順を解説します。売る・貸す・解体するなど、まだ処分方法そのものを決めていない方は、先にいらない空き家を処分する方法をご覧ください。

この記事の監修者
小野|不動産監修者
・不動産業界歴14年
・宅地建物取引士(宮崎県登録)
・FP2級
・取引実績:約300件
・専門分野:空き家売却・相続不動産・不動産査定・賃貸管理
不動産売買、売買仲介、賃貸管理業務に従事。
これまで約300件の不動産取引に携わり、空き家や相続不動産に関する相談・売却案件も多数担当。
本記事では実務経験と保有資格をもとに監修を行っています。
※空き家の売却手続きは、名義・相続関係・共有状態・物件の状況によって異なります。本記事では一般的な流れを解説しています。個別の手続きは不動産会社・司法書士・税理士などへご確認ください。
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空き家を売却するときは、まず「いくらくらいで売れそうか」を確認するところから始まります。 同じ物件でも不動産会社によって査定額や売却の提案が異なるため、 最初の1社だけで決めず、複数の不動産会社の査定を比較しておくと判断しやすくなります。 イエウールなら、一度の入力で複数の不動産会社へ査定を依頼できます。
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当サイトの調査記事
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調査記事を見る →空き家売却はどこに相談する?
空き家を売りたい場合、まず相談先になるのは不動産会社です。売却できそうな価格や販売方法、建物を残したまま売れるかなどを確認できます。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 売却価格・販売方法・査定 | 不動産会社 |
| 相続登記・名義変更 | 司法書士 |
| 売却後の譲渡所得・確定申告 | 税理士・税務署 |
| 空き家バンク・自治体の支援制度 | 市区町村の空き家担当窓口 |
| 残置物や片付け | 不動産会社・片付け業者など |
「売れるかどうかも分からない」という段階でも、まず査定を受けて現在の価値を知るところから始められます。相続や名義に問題がある場合は、査定と並行して司法書士などへ相談すると進めやすくなります。
空き家を売る前に確認したいこと

登記名義を確認する
まず、登記事項証明書などで現在の所有者が誰になっているかを確認します。相続した実家では、亡くなった親名義のままになっているケースがあります。
2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日などから原則3年以内に申請する必要があります。2024年4月1日より前に発生した相続でも未登記の場合は対象となるため、名義が整理できていない場合は早めに確認しましょう。
相続した空き家で最初に確認することは、空き家を相続したら何をする?でも整理しています。
共有名義なら売却について話し合う
空き家が複数人の共有名義になっている場合、物件全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。価格や売却時期について後から意見が分かれないよう、査定前後の早い段階で話し合っておきましょう。
建物の状態を確認する
雨漏り、シロアリ被害、屋根・外壁の破損、水回りの故障など、分かっている不具合を整理しておきます。古い空き家では建物に価値がつかず、土地を中心に査定されることもあります。
ただし、売るために先に大規模なリフォームをする必要があるとは限りません。修繕費をかけても、その分だけ売却価格が上がるとは限らないため、まず現状のまま査定を受ける方が安全です。
片付けは査定前に全部終わらせなくていい
家具や家電などが残っていても、査定そのものは受けられることが一般的です。売却方法や買主との条件によっては、残置物がある状態で売れるケースもあります。
そのため、査定前に高額な片付け費用をかけて空にする必要があるかは、先に不動産会社へ確認しましょう。残置物がある家の売却については、空き家は片付けずに売れる?残置物がある家の売却方法で詳しく解説しています。
不動産会社へ査定を依頼して売却相場を確認する

売却前の準備ができたら、不動産会社へ査定を依頼します。ここで確認したいのは、単に「高い査定額」ではなく、実際にどの程度の価格で売れそうかです。
査定には机上査定と訪問査定がある
机上査定
所在地、面積、築年数、周辺の取引事例などから価格の目安を出す方法です。現地確認をしないため、まず大まかな相場を知りたい場合に向いています。
訪問査定
不動産会社の担当者が現地を確認し、建物の状態、接道、日当たり、周辺環境、土地の形状などを踏まえて査定する方法です。実際に売却を進める段階では、訪問査定でより具体的な価格を確認します。
複数の不動産会社を比較する
同じ空き家でも、得意な地域や物件、顧客層、販売方法が異なるため、査定額に差が出ることがあります。できれば複数社の査定を比較し、価格の幅や相場感をつかみましょう。

査定額の高さだけで不動産会社を決めないことが大切です。なぜその価格で売れると考えるのか、根拠や販売方法まで比較しましょう。
査定額の根拠を確認する
査定額が高い会社をそのまま選ぶのではなく、近隣の成約事例や物件の条件から、なぜその価格になるのかを確認します。相場とかけ離れた価格で売り出すと、問い合わせが少ないまま長期化することがあります。
不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
査定内容や担当者の説明に納得できたら、売却活動を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を結びます。
不動産会社を選ぶときの確認ポイント
- その地域や空き家・中古住宅の売却実績があるか
- 査定価格の根拠を具体的に説明してくれるか
- どのような方法で買主を探すのか
- 売れない場合の価格見直しについて説明があるか
- 質問への回答が分かりやすいか
媒介契約には3種類ある
| 種類 | 複数の不動産会社へ依頼 | 自分で見つけた相手との直接契約 |
|---|---|---|
| 一般媒介契約 | できる | できる |
| 専任媒介契約 | できない | できる |
| 専属専任媒介契約 | できない | 原則できない |
どの媒介契約が合うかは、物件や売却方針によって異なります。国土交通省も、物件内容や相手方の探し方、情報公開の範囲などを考慮して不動産会社と相談するよう案内しています。
売り出し価格を決めて売却活動を始める

売り出し価格を決める
査定額や周辺相場、売却を急ぐかどうかなどを踏まえて売り出し価格を決めます。高すぎると問い合わせが入りにくくなり、安すぎれば手取りを減らす原因になります。担当者から販売戦略を聞きながら決めましょう。
広告や不動産情報サイトへ掲載する
媒介契約後は、不動産会社が自社サイトや不動産ポータルサイト、業者間の物件情報ネットワークなどを利用して購入希望者を探します。専任媒介・専属専任媒介では、指定流通機構(レインズ)への登録義務があります。
内覧に備えて掃除・換気をする
購入希望者から問い合わせが入ると内覧へ進みます。すべての家具を処分する必要はありませんが、室内へ入れるよう動線を確保し、できる範囲で掃除・換気をしておくと状態を確認してもらいやすくなります。
特に長期間閉め切った空き家は、においや湿気がこもっていることがあります。大規模なリフォームより、まず清掃・換気・庭の最低限の手入れを優先するとよいでしょう。
購入希望者と条件を調整して売買契約を結ぶ

購入希望者が見つかると、購入申込書などをもとに価格や引き渡し条件を調整します。
価格・引き渡し日・残置物などを決める
- 売買価格
- 手付金
- 引き渡し日
- 家具・家電など残置物の扱い
- 土地や建物の状態に関する条件
古い空き家では、建物の不具合や残置物をどのように扱うかが重要です。口頭だけで済ませず、不動産会社と確認しながら契約内容に反映してもらいましょう。
売買契約書と重要事項を確認する
条件がまとまったら売買契約を締結します。契約前には宅地建物取引士から買主へ重要事項の説明が行われ、売主も売買契約書の内容を確認します。
契約解除、契約不適合責任、設備や残置物の扱いなど、後から変更しにくい内容もあるため、分からない点は署名・押印前に確認してください。
手付金を受け取る
売買契約時には、買主から手付金を受け取るのが一般的です。手付金の金額や解除条件は契約によって異なるため、契約書で確認します。
空き家売却で準備する主な必要書類
必要書類は物件や名義、売却方法によって異なりますが、一般的には次のような書類を準備します。
| 書類の例 | 主な用途 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 売主本人の確認 |
| 登記識別情報通知・権利証 | 所有権移転登記など |
| 印鑑証明書・実印 | 登記・契約手続き |
| 固定資産税納税通知書・評価証明書など | 税額確認・登記費用計算など |
| 土地測量図・境界確認書 | 土地の範囲や境界確認 |
| 建築確認済証・検査済証・図面など | 建物情報の確認 |
| 相続関係書類 | 相続登記などが必要な場合 |
すべての物件で同じ書類が必要なわけではありません。査定や媒介契約の段階で、担当する不動産会社や司法書士へ「自分の物件では何が必要か」を一覧で確認すると準備漏れを防げます。
決済・所有権移転・鍵の引き渡しを行う
売買契約後は、契約で決めた引き渡し日に向けて残置物の撤去や必要書類の準備などを進めます。
引き渡しまでに残置物や契約条件を整える
契約上「空の状態で引き渡す」と決めた場合は、家具・家電・ごみなどを期限までに撤去します。残置物を残したまま引き渡す合意がある場合は、その内容に従います。
残代金を受け取り所有権を移転する
決済日には、買主から売買代金の残額を受け取り、司法書士が所有権移転登記などの手続きを進めるのが一般的です。固定資産税などの精算も行われます。
鍵を引き渡して売却完了
決済と必要な手続きが終わったら、買主へ鍵などを渡して売却完了です。
空き家売却にかかる期間の目安
空き家売却は、査定を依頼してすぐ終わるとは限りません。一般的な仲介では、査定・不動産会社選びから引き渡しまで数か月程度かかることがあります。
| 段階 | 期間のイメージ |
|---|---|
| 査定・不動産会社選び | 数日〜数週間程度 |
| 売却活動 | 数か月程度になることがある |
| 売買契約から引き渡し | 1か月前後〜数か月程度になることがある |
都市部の需要が高い物件と、地方の古い空き家では売れるまでの期間が大きく違います。価格、立地、建物状態、買主の住宅ローン手続きなどでも変わるため、「必ず3か月で売れる」といったものではありません。
古い空き家は片付け・リフォーム・解体してから売る?
古い空き家の売却で迷いやすいのが、売る前にどこまで費用をかけるかです。結論としては、大きな費用をかける前に、現状のまま査定を受けるのがおすすめです。
片付けは査定後でも判断できる
残置物が多くても、査定時点ですべて撤去する必要があるとは限りません。仲介で内覧しやすくするために片付ける場合もあれば、買取などで残置物を含めて相談できる場合もあります。
売却目的だけのリフォームは慎重に
100万円かけてリフォームしても、売却価格が100万円以上高くなるとは限りません。買主が自分の好みに合わせて改修したいケースもあるため、先に不動産会社へ相談して必要性を判断しましょう。
解体する前に「そのまま売る価格」と比較する

古い空き家でも、先に解体した方がよいとは限りません。建物を残した状態と更地にした場合の両方を比較してから判断するのがおすすめです。
解体には大きな費用がかかり、建物を壊したことで住宅用地の固定資産税の特例が外れる場合もあります。一方で、老朽化が著しく更地の方が売りやすい地域もあります。
判断方法は、空き家は解体してから売る?そのまま売却?費用・税金・手取りを比較で詳しく解説しています。解体費用の相場は空き家の解体費用も参考にしてください。
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空き家売却後の税金・確定申告も確認する
空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税・住民税がかかり、確定申告が必要になることがあります。売却価格そのものにそのまま税率をかけるわけではなく、取得費や譲渡費用などを差し引いて譲渡所得を計算します。
相続した空き家には3,000万円特別控除が使える場合がある
相続した一定の空き家を売却した場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。国税庁によると、対象となる譲渡期間は現行制度では2027年12月31日までです。
ただし、建物・相続・売却時期など細かな要件があり、2024年1月1日以後の譲渡では、一定の場合に控除上限が2,000万円となるケースもあります。適用を考える場合は、売却方法を決める前から税理士や税務署へ確認してください。
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
税金の特例は「売ったあとに考えればいい」とは限りません。解体時期などが要件に関係することがあるため、該当しそうな場合は売却前に確認しましょう。
空き家売却で後悔しないための注意点
査定額だけで不動産会社を決めない
高い査定額でも、その価格で実際に買主が見つかるとは限りません。査定根拠、販売方法、地域での実績まで比較しましょう。
分かっている不具合を隠さない
雨漏りなど把握している不具合がある場合は、不動産会社へ伝えたうえで売却条件を整理します。後からトラブルにならないよう、物件の状態をできるだけ正確に共有することが重要です。
片付け・修繕・解体に先にお金をかけすぎない
売却に必要だと思って費用をかけても、売却価格で回収できない可能性があります。まず現状で査定し、「何をすれば売れやすくなるか」を不動産会社と確認してから判断しましょう。
売却を急ぎすぎて相場を確認しない
早く手放したい場合でも、最低限の相場確認は必要です。仲介で時間をかける方法と、不動産会社の買取など早く現金化する方法では、価格や流れが異なります。
空き家売却の流れでよくある質問
空き家売却は最初にどこへ相談すればいい?
まずは空き家のある地域で売却実績のある不動産会社へ相談し、査定を受ける方法が一般的です。相続登記が済んでいない場合は司法書士、税金が気になる場合は税理士や税務署へ並行して確認します。
家具や荷物が残ったままでも査定できますか?
査定は可能なことが一般的です。売却前にすべて処分すべきかは、仲介・買取など売却方法によって異なるため、先に不動産会社へ確認してください。
古い空き家は解体しないと売れませんか?
解体しなくても、古家付き土地や中古住宅として売れる場合があります。先に解体すると費用や税負担が変わる可能性があるため、現状のまま査定してから比較するのがおすすめです。
空き家が売れるまでどれくらいかかりますか?
立地、価格、建物状態、地域の需要などによって大きく異なります。数か月で売れることもあれば、地方や需要の少ない地域では長期化する場合もあります。
空き家を早く手放したい場合はどうする?
仲介だけでなく不動産会社による買取、空き家バンク、譲渡なども選択肢です。手放し方全体を比較する場合は、いらない空き家を処分する方法を参考にしてください。
まとめ|空き家売却は「名義確認→査定→不動産会社選び」から始める
空き家売却は、次のような流れで進みます。
- 名義・相続関係・建物状態を確認する
- 不動産会社へ査定を依頼する
- 査定額と売却相場を比較する
- 不動産会社を選び媒介契約を結ぶ
- 売り出し価格を決めて売却活動を行う
- 購入希望者と条件を調整する
- 売買契約を結ぶ
- 必要書類・残置物などを準備する
- 決済・所有権移転・鍵の引き渡しを行う
特に大切なのは、片付け・リフォーム・解体などに大きな費用をかける前に、現状のまま査定して価値を把握することです。古い空き家でも、そのまま売れる可能性があります。
また、まだ「売却・買取・解体・譲渡のどれがいいか」で迷っている場合は、いらない空き家を処分する方法から選択肢を整理してください。
※相続登記、共有名義、売却時の税金、3,000万円特別控除などは個別事情によって取り扱いが異なります。実際の売却では、不動産会社・司法書士・税理士などへ確認してください。

この記事を書いた人
地方生活サポートハウス編集部
地方暮らしや住宅メンテナンス、
空き家管理に関する情報を発信しています。
実体験や専門家監修をもとに、
分かりやすい情報提供を心がけています。

