親や親族が亡くなり実家を相続することになっても、「何から始める?」「相続登記はいつまで?」「兄弟で相続する場合は?」「このまま空き家にして大丈夫?」と迷う方は多いでしょう。
空き家を相続したら、最初にすることは売却や解体ではありません。まず相続人・不動産の名義・建物の状態・相続財産全体を確認し、必要な手続きを進めながら今後の方針を決めます。

相続した空き家は、登記だけ済ませれば終わりではありません。誰が所有し、誰が管理し、今後どうするのかまで早めに整理しておくことが大切です。
| 確認・手続き | 主な内容 |
|---|---|
| 相続人を確認する | 誰が相続人になるか、遺言書があるか確認 |
| 財産と負債を確認する | 不動産だけでなく預貯金・借金なども確認 |
| 相続方法を決める | 相続する・相続放棄などを期限内に判断 |
| 相続登記をする | 不動産を取得した人へ名義を変更 |
| 税金・維持費を確認する | 相続税、固定資産税、管理費などを把握 |
| 管理体制を決める | 自主管理・親族・管理サービスなど |
| 今後の方針を決める | 住む・貸す・売る・解体・管理継続などを比較 |
この記事では、空き家を相続したら何をするのかを、相続登記・税金・管理・売却・相続放棄まで順番に解説します。

この記事の監修者
小野|不動産監修者
・不動産業界歴14年
・宅地建物取引士(宮崎県登録)
・FP2級
・取引実績:約300件
・専門分野:空き家売却・相続不動産・不動産査定・賃貸管理
不動産売買、売買仲介、賃貸管理業務に従事。
これまで約300件の不動産取引に携わり、空き家や相続不動産に関する相談・売却案件も多数担当。
本記事では実務経験と保有資格をもとに監修を行っています。
※相続人の範囲、遺産分割、相続放棄、相続登記、相続税などは個別事情によって手続きが変わります。本記事は一般的な流れを整理したもので、具体的な判断は司法書士・弁護士・税理士・税務署・法務局などへご確認ください。
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今後住まない実家なら、売却価値も確認
空き家を相続したら、まずは相続人や名義、財産全体を確認することが大切です。 そのうえで今後自分や家族が住む予定がない場合は、 現在の状態でいくらで売れそうかを確認しておくと、 管理を続けるか、売却・解体するかを比較しやすくなります。
\ 無料で実家の売却査定をする /※相続人や不動産の名義が整理できていない場合は、先に必要な相続手続きをご確認ください。売却を具体的に検討している23歳以上の方が対象で、申込み後は本人確認・日程調整・訪問査定があります。
空き家を相続したら最初に確認すること
空き家の今後を決める前に、まず「誰が相続するのか」「家以外にどんな財産・負債があるのか」「建物はどのような状態か」を確認します。
遺言書と相続人を確認する
最初に、遺言書の有無と相続人を確認します。配偶者や子だけでなく、家族構成によっては親や兄弟姉妹などが相続人になることもあります。戸籍をたどらないと相続人を確定できないケースもあります。
遺言書が見つかった場合も、種類によって必要な手続きが異なります。自筆証書遺言などでは家庭裁判所の検認が必要になる場合があるため、自己判断で処理せず確認しましょう。
不動産だけでなく財産と負債を確認する
空き家だけを見て「欲しい・いらない」と判断するのではなく、預貯金、株式、ほかの土地・建物、借金、未払い金など相続財産全体を確認します。
相続放棄は「空き家だけ放棄して預貯金は相続する」という手続きではありません。相続放棄をすると、原則として被相続人の権利や義務を一切受け継がないことになるため、空き家だけを理由に急いで判断しないことが大切です。
建物・土地の状態を確認する
- 雨漏りや屋根・外壁の破損
- シロアリなどの被害
- 給排水設備の故障
- 雑草や庭木の繁茂・越境
- 郵便物の滞留
- 不法侵入や防犯上の問題
遠方で現地確認が難しい場合は、近くの親族や空き家管理サービスへ見回りを依頼する方法もあります。相続手続き中でも、建物の劣化や近隣への影響を防ぐため最低限の確認はしておきましょう。
空き家相続で特に注意したい期限
相続にはいくつか重要な期限があります。すべての人に同じ手続きが必要なわけではありませんが、放置すると選択肢を失うことがあるため早めに確認してください。
| 主な期限 | 内容 |
|---|---|
| 相続放棄 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内 |
| 相続税の申告・納税 | 申告が必要な場合は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内 |
| 相続登記 | 不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内 |
相続財産を調べても3か月以内に相続するか放棄するか判断できない場合は、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てられる場合があります。
兄弟など相続人が複数いる場合はどうする?
実家の相続では、兄弟姉妹など複数の相続人が関係することがあります。遺産分割がまとまるまでは、誰か一人が勝手に「自分の家」として売却できるわけではありません。
誰が空き家を取得するか話し合う
遺言による指定がない場合などは、相続人同士で遺産分割について話し合います。例えば、特定の相続人が家を取得する、家を売却して代金を分けるなど、方法は状況によって異なります。
共有名義にする場合は将来の管理も考える
共有名義にすると、一人あたりの負担を分けられるように見えますが、将来の売却や大きな方針変更で複数人の意思調整が必要になります。さらに次の相続が発生すると関係者が増える可能性もあります。

空き家は「誰かがやるだろう」と曖昧にしてしまうと、管理が止まりやすくなります。兄弟や親族がいる場合は、管理担当と費用負担まで決めておくと安心です。
相続人が多数いる場合や話し合いが進まない場合は、権利関係が複雑になる前に司法書士や弁護士へ相談するのがおすすめです。
空き家の相続登記を行う

相続登記とは、亡くなった方が所有していた土地・建物について、相続した人へ登記名義を変更する手続きです。
相続登記は2024年4月から義務化されている
2024年4月1日から相続登記は義務化されました。相続により不動産を取得したことを知った相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
正当な理由がないのに義務を履行しない場合は、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
また、2024年4月1日より前に相続したことを知っていた不動産で未登記のものも対象です。この場合は、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
遺産分割がまとまらないときは相続人申告登記もある
3年以内に遺産分割がまとまらず、通常の相続登記が難しい場合には、相続人であることを法務局へ申し出る「相続人申告登記」によって申請義務を履行する方法があります。
ただし、その後に遺産分割が成立して不動産を取得した場合は、遺産分割の日から3年以内に、その内容に応じた登記が必要です。
相続登記の手続きや必要書類は相続関係によって異なります。分からない場合は法務局の登記手続案内や司法書士へ相談しましょう。
相続した空き家にかかる税金を確認する
空き家を相続した場合に関係する可能性がある税金は、主に相続時の相続税、保有中の固定資産税、売却した場合の譲渡所得に対する税金です。
相続税はすべての人にかかるわけではない
相続税は、相続した財産の総額などが一定の基準を超える場合に申告・納税が必要になります。申告が必要な場合の期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
空き家だけでなく、預貯金、有価証券、その他の不動産なども含めて判断するため、財産額が大きい場合や判断に迷う場合は税理士や税務署へ確認してください。
相続後も固定資産税などの負担が続く
空き家に誰も住んでいなくても、所有している間は固定資産税などの負担が続きます。さらに草刈り、庭木の剪定、火災保険、修繕、遠方からの交通費などがかかることもあります。
空き家の固定資産税の仕組みは、空き家の固定資産税はいくら?住宅用地の特例と税負担が増えるケースで詳しく解説しています。
売却すると譲渡所得の税金がかかる場合がある
相続した家や土地を売って利益が出た場合は、譲渡所得に対して所得税・住民税がかかることがあります。売却価格そのものに税率をかけるのではなく、取得費や譲渡費用などをもとに計算します。
相続した空き家は3,000万円特別控除を使える場合がある
相続した一定の空き家を売却した場合は、要件を満たすことで譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。一般に「相続空き家の3,000万円特別控除」などと呼ばれます。
現行制度では、対象となる一定の譲渡を2027年12月31日までに行うことなどが条件です。また、2024年1月1日以後の譲渡で対象物件を取得した相続人が3人以上の場合は、控除額の上限が1人あたり2,000万円になります。
「相続から3年以内」だけで判断しない
この特例には、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどの要件があります。そのほか、家屋の建築時期、相続前の居住状況、売却代金、耐震・取壊しなど複数の条件があります。
「相続して3年以内なら必ず使える」という制度ではありません。売却や解体の時期が要件に関係する場合もあるため、特例を利用したい場合は売却・解体の契約前から税務署や税理士へ確認するのがおすすめです。
参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
相続した空き家の管理方法を決める
相続手続きを進めている間や、今後の使い道を考えている間も、空き家の状態は変化します。放置期間が長くなるほど劣化や防犯、雑草・庭木、近隣への影響などの問題が起こりやすくなるため、誰が管理するかを決めておきましょう。
自分や親族で管理する
- 建物外部の破損確認
- 換気・通水
- 郵便物の確認
- 室内の清掃
- 雑草・庭木の確認
- 台風や大雨の後の点検
兄弟や親族で分担する場合は、「誰が何をするか」だけでなく、交通費・草刈り・修繕などの費用を誰が負担するかも話し合っておくとトラブルを防ぎやすくなります。

梅雨時期に入ると雑草や竹が活発に伸びてきた
自分で空き家を管理するポイントは、空き家を自分で管理する方法、遠方の実家については遠方の実家を管理する方法も参考にしてください。
空き家管理サービスを利用する

遠方に住んでいる、仕事や家庭の事情で定期的に行けないといった場合は、空き家管理サービスを利用する方法があります。見回り、換気、通水、郵便物の確認、敷地確認、写真報告など、サービス内容は会社によって異なります。
費用やサービス範囲を比較したい場合は、空き家管理の費用や空き家管理サービスのメリット・デメリットも確認してください。
管理が難しいなら「とりあえず保有」を長引かせない
今後住む予定がなく、管理の負担が大きい場合は、管理を続けること自体を目的にせず、売却や活用など次の方針を早めに考えることも大切です。
相続した実家を放置するリスクは、相続した実家を放置するとどうなる?で詳しく解説しています。
相続した空き家を今後どうするか決める

相続した空き家の手続きや状態を確認したら、今後の方針を決めます。主な選択肢は次のとおりです。
| 選択肢 | 向いているケース |
|---|---|
| 自分や家族が住む | 将来利用する予定がある |
| 賃貸・その他の活用 | 建物状態や地域需要が見込める |
| 売却する | 住む予定がなく管理負担をなくしたい |
| 解体して土地を利用・売却 | 建物の老朽化が進み、更地需要などがある |
| 一定期間管理する | すぐに判断できない理由がある |
空き家を残して活用する方法は、空き家の活用方法5選で比較しています。
一方、今後使わず手放したい場合は、いらない空き家を処分する方法で、仲介売却・買取・空き家バンク・解体・譲渡などを比較してください。
相続した空き家を売却する場合
相続した空き家を売る場合は、まず名義や相続関係を整理し、現状のまま不動産会社へ査定を依頼して価値を確認するのが基本です。

売却の具体的な手順は、空き家売却の流れと手順で査定から契約・引き渡しまで解説しています。
古い家だからといって、先に解体した方が得とは限りません。解体費用や固定資産税、更地にした場合の売却価格まで比較する必要があります。詳しくは空き家は解体してから売る?そのまま売却?をご覧ください。
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空き家を相続したくない場合は相続放棄できる?
空き家だけでなく借金などもあり、相続したくない場合は相続放棄を検討することがあります。相続放棄は家庭裁判所への申述が必要で、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行います。
相続財産の調査に時間が必要な場合は、3か月の期間が過ぎる前に家庭裁判所へ期間伸長を申し立てられる場合があります。
空き家だけを選んで相続放棄することはできない
相続放棄は、被相続人の権利や義務を一切受け継がないための手続きです。そのため、「借金と空き家は放棄するが、預貯金は受け取る」という選び方はできません。
相続放棄後も必ず管理義務が続くとは限らない
2023年4月施行の民法改正により、相続放棄をした人が相続財産の保存義務を負うのは、相続放棄の時点でその財産を現に占有している場合に限られることが明確になりました。その場合も、相続人や相続財産清算人へ財産を引き渡すまでの保存が中心です。
したがって、「相続放棄をしても空き家を永久に管理し続けなければならない」と一律に考えるのは正確ではありません。ただし、実際に占有しているかなどで判断が変わるため、相続放棄を検討している場合は弁護士や司法書士などへ確認してください。
相続放棄は期限が短く、財産の扱いによっては法的判断が必要になります。空き家の解体や処分を自分で進める前に、専門家へ相談してください。
空き家相続で困ったときの相談先
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 相続登記・名義変更 | 法務局・司法書士 |
| 遺産分割・相続人同士の争い | 弁護士 |
| 相続税・売却時の税金・特例 | 税務署・税理士 |
| 売却価格・売却方法 | 不動産会社 |
| 空き家バンク・地域の支援制度 | 市区町村の空き家担当窓口 |
| 建物の管理 | 空き家管理サービス・地域事業者 |
「誰に相談すればいいか分からない」という場合は、まず問題を登記・相続争い・税金・不動産・管理のどれに近いか整理すると相談先を選びやすくなります。
空き家の相続人がいない・分からない場合はどうなる?
戸籍を調べても相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄して相続する人がいなくなった場合などは、通常の相続とは手続きが異なります。
相続人の存在が明らかでない場合、利害関係人などの申立てにより家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、財産の清算を進める制度があります。清算後に残った財産は、特別縁故者への分与が認められる場合などを除き、最終的に国庫へ帰属します。
「相続人が分からない」「全員が放棄した」「所有者不明の空き家について困っている」といった場合は、通常の不動産売却だけでは処理できないことがあるため、家庭裁判所や弁護士・司法書士へ相談してください。
空き家相続でよくある質問
空き家を相続したら必ず相続登記が必要ですか?
相続によって不動産を取得したことを知った場合は、原則として3年以内に相続登記を申請する義務があります。遺産分割がまとまらない場合には、相続人申告登記を利用して義務を履行する方法もあります。
2024年より前に相続した空き家も登記義務の対象ですか?
対象です。2024年4月1日より前に相続したことを知っていた不動産で未登記のものは、原則2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
兄弟で相続した空き家を一人だけで売却できますか?
共有状態の物件全体を一人の判断だけで売却することはできません。誰が不動産を取得するか、共有のままにするか、売却して代金を分けるかなどを相続人同士で整理する必要があります。
相続した空き家の固定資産税は誰が払いますか?
相続後も不動産を保有していれば固定資産税の負担は続きます。相続人が複数いる場合の負担方法などは相続関係によって異なるため、相続人同士で整理し、市区町村にも確認してください。
空き家の3,000万円控除は相続から3年以内なら使えますか?
3年だけで決まる制度ではありません。売却期限のほか、建築時期、相続前の居住状況、売却代金、耐震・取壊しなど複数の要件があります。国税庁の要件を確認し、利用予定なら売却前に税務署や税理士へ相談しましょう。
相続放棄すれば空き家の管理は一切しなくてよいですか?
一律には言えません。相続放棄時にその空き家を現に占有している場合は、相続人や相続財産清算人へ引き渡すまで保存義務を負うことがあります。個別判断が必要なため、放棄後の扱いも含めて専門家へ確認してください。
相続した空き家をすぐ使わない場合はどうすればいい?
少なくとも定期的な見回りや庭・建物の確認ができる体制を整えます。そのうえで、住む予定がないのであれば、売却・賃貸・活用・解体などを比較し、長期間「とりあえず空き家」の状態にしないことが重要です。
まとめ|空き家を相続したら手続きと今後の方針を早めに整理する
空き家を相続したら、次の順番で整理すると進めやすくなります。
- 遺言書と相続人を確認する
- 空き家以外も含めて財産・負債を調べる
- 相続するか、相続放棄などを検討する
- 誰が不動産を取得するか決める
- 相続登記を行う
- 相続税・固定資産税などを確認する
- 空き家を管理できる体制を整える
- 住む・貸す・売る・解体・管理継続から今後の方針を決める
特に現在は相続登記が義務化されており、原則3年以内という期限があります。また、相続放棄には原則3か月、相続税の申告が必要な場合は原則10か月という期限もあるため、「落ち着いてから考えよう」と長期間放置するのは避けましょう。
今後住む予定がなく、最終的に手放したい場合は、いらない空き家を処分する方法で売却・買取・空き家バンク・解体・譲渡などの選択肢を比較してください。
一方、残して使いたい場合は、空き家の活用方法5選から賃貸・居住・空き家バンク・土地活用などを検討できます。
※相続放棄、遺産分割、相続人の確定、相続登記、相続税、3,000万円特別控除などは個別事情によって結論が変わります。重要な判断や契約をする前に、司法書士・弁護士・税理士・法務局・税務署などへご確認ください。

この記事を書いた人
地方生活サポートハウス編集部
地方暮らしや住宅メンテナンス、
空き家管理に関する情報を発信しています。
実体験や専門家監修をもとに、
分かりやすい情報提供を心がけています。

