相続した実家や使わなくなった空き家を売り出したものの、
- 何か月たっても問い合わせがない
- 内覧には来るが購入の申し込みが入らない
- 不動産会社から売却は難しいと言われた
- 値下げを続けるべきか迷っている
という方もいるのではないでしょうか。
先に結論をお伝えすると、空き家が売れないときは、物件そのものに価値がないと決めつけるのではなく、どの段階で売却が止まっているのかを確認することが大切です。
| 現在の状況 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 問い合わせがほとんどない | 売出価格・広告内容・販売範囲 |
| 問い合わせはあるが内覧につながらない | 写真・家財・建物状態・価格 |
| 内覧後に断られる | 修繕費・周辺環境・土地条件 |
| 購入希望者はいるが契約できない | 名義・共有者・境界・契約条件 |
| 仲介で長期間売れていない | 買取・空き家バンク・売り方の変更 |
| 解体するべきか迷っている | 現状査定・解体費用・更地価格 |
売れない原因によって、価格を見直すべき場合もあれば、買取や空き家バンクなどへ売り方を変えた方がよい場合もあります。
一方で、査定前に建物を解体したり、高額なリフォームをしたりしても、その費用を回収できるとは限りません。

一社で売れないと言われただけで、処分できないと判断する必要はありません。原因と売却方法を分けて考えましょう。
この記事では、空き家が売れない8つの理由と、原因に合った対処法を解説します。

この記事の監修者
小野|不動産監修者
・不動産業界歴14年
・宅地建物取引士(宮崎県登録)
・FP2級
・取引実績:約300件
・専門分野:空き家売却・相続不動産・不動産査定・賃貸管理
不動産売買、売買仲介、賃貸管理業務に従事。
これまで約300件の不動産取引に携わり、空き家や相続不動産に関する相談・売却案件も多数担当。
本記事では実務経験と保有資格をもとに監修を行っています。
空き家が売れない原因は問い合わせの状況から見分ける

空き家が売れないときは、最初に売却活動のどの段階で止まっているのかを確認します。
単に「売れない」という結果だけを見ても、価格を下げるべきか、広告を改善すべきか、売り方を変えるべきかは判断できません。
問い合わせがまったくない場合
売り出しても問い合わせがほとんどない場合は、次の原因が考えられます。
- 売出価格が周辺相場より高い
- 購入希望者が少ない地域にある
- 物件情報が十分に掲載されていない
- 空き家を探す人へ情報が届いていない
この段階では、建物の内部よりも、価格や立地、広告の見せ方が原因になっている可能性があります。
すぐに大幅な値下げをするのではなく、周辺の成約事例、掲載写真、物件説明、広告を掲載している媒体を確認しましょう。
問い合わせはあるが内覧されない場合
問い合わせはあるものの内覧につながらない場合は、購入希望者が詳細を確認した段階で見送っている可能性があります。
- 室内写真が少ない
- 家財や残置物が多く見える
- 建物の状態が分からない
- 希望条件と価格が合っていない
不具合を隠す必要はありませんが、建物の状態や必要な修繕について、判断できる情報を掲載することが大切です。
内覧されるが購入の申し込みがない場合
内覧までは進むものの購入の申し込みが入らない場合は、現地で確認した内容が購入判断に影響している可能性があります。
- 雨漏りや床の傾きがある
- 水回りの修繕費が高い
- 庭や家財の片付けに費用がかかる
- 周辺道路が狭い
- 道路と敷地に高低差がある
内覧後に不動産会社へ感想を確認し、複数の購入希望者が同じ点を気にしている場合は、その部分を中心に対処法を考えます。
購入希望者がいても契約まで進まない場合
購入の意思がある人が現れても、次のような問題があると契約を進められないことがあります。
- 相続登記が終わっていない
- 共有者全員の同意が得られない
- 土地の境界について隣地所有者と認識が異なる
- 売主と買主で引き渡し条件がまとまらない
この場合は、広告や価格よりも、名義や権利関係の整理を優先します。
空き家が売れない8つの理由

ここからは、空き家が売れない主な理由を8つに分けて解説します。
売出価格が周辺相場より高い
空き家が売れない原因として、最初に確認したいのが売出価格です。
所有者にとって思い入れのある実家でも、買主は次の費用を含めて購入を判断します。
- 購入代金
- 仲介手数料や登記費用
- 修繕・リフォーム費用
- 家財の処分費用
- 将来の維持管理費
売出価格が相場と大きく離れていると、内覧候補にも入らないことがあります。
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、地域ごとの不動産取引価格や成約価格などを確認できます。
ただし、同じ地域でも、土地の形状、面積、前面道路、建物状態などによって価格は変わります。
査定額の高さだけで不動産会社を選ばず、査定額の根拠と想定する買主まで確認しましょう。
建物の老朽化や修繕費の負担が大きい
築年数が古いことだけで売れないとは限りません。
しかし、次のような不具合があると、購入後に必要な費用が分かりにくくなり、買主が判断しにくくなります。
- 雨漏り
- 床や建物の傾き
- 給排水設備の故障
- シロアリ被害
- 外壁や屋根の劣化
一方で、売主が大規模なリフォームを行っても、買主の好みに合わなければ工事費を売却価格へ上乗せできないことがあります。
現状のまま仲介で売る方法、不動産会社に買い取ってもらう方法、古家付き土地として売る方法を比較しましょう。
土地の接道・形状・高低差に問題がある
空き家の価値は、建物だけで決まるわけではありません。
次のような土地は利用方法が限られ、住宅用地として検討する買主が少なくなる場合があります。
- 道路に十分接していない
- 敷地へ車が入りにくい
- 細長い、三角形など建物を配置しにくい
- 道路と敷地の高低差が大きい
- 背後や隣接地が斜面になっている
接道条件などによって再建築が難しい土地では、建物を解体すると利用価値が下がる可能性もあります。
解体を決める前に、建物付きでの査定と土地としての評価を両方確認してください。
田舎や郊外で購入希望者が少ない
人口が少ない地域や、通勤・通学に時間がかかる地域では、中古住宅を探している人自体が少ない場合があります。
ただし、一般的な住宅需要が少なくても、次のような目的で探している人がいる可能性があります。
- 地方移住
- 二拠点生活
- 古民家の再生
- 店舗や事務所としての利用
- 農業や事業用の拠点
都市部の不動産会社だけでなく、物件がある地域の不動産会社や自治体の空き家バンクにも相談しましょう。
空き家バンクの登録条件、現地調査、仲介方法、利用できる補助制度は自治体によって異なります。
全国版空き家・空き地バンクについては、国土交通省の空き家・空き地バンク総合情報ページも参考にしてください。
家財や残置物が大量に残っている
室内に家財が多いと、部屋の広さや建物の状態が分かりにくくなることがあります。
また、買主が処分費用を負担する場合は、その費用を考慮して購入価格を判断します。
ただし、査定を受ける前に家財をすべて処分する必要はありません。
不動産会社による買取では、物件や会社によって、家財や残置物を残した状態で相談できる場合があります。
まず査定を受け、売却に必要な片付けの範囲と費用を確認してから処分しましょう。
名義・共有者・境界が整理されていない
購入希望者が現れても、売主側の権利関係が整理されていなければ、売買契約や所有権移転を進められないことがあります。
- 登記名義が亡くなった親のままになっている
- 相続人が複数いて遺産分割が終わっていない
- 共有者の一人と連絡が取れない
- 土地の境界が分からない
- 隣地所有者と境界の認識が異なる
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。
相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則として3年以内に相続登記を申請する必要があります。
義務化前に発生した相続で登記が終わっていない場合も対象になるため、詳しくは法務省の相続登記の義務化に関する案内を確認してください。
相続登記は司法書士、土地の境界は土地家屋調査士、共有者との争いは弁護士など、問題に合った専門家へ相談します。
不動産会社や販売方法が物件に合っていない
不動産会社には、それぞれ得意な地域や物件があります。
- 都市部の中古住宅を得意とする会社
- 郊外や田舎の物件を扱っている会社
- 空き家の買取を行っている会社
- 古民家や移住向け物件に詳しい会社
- 土地や事業用不動産を得意とする会社
一般の中古住宅として売れなくても、買取、古家付き土地、事業用物件など、売り方を変えることで相談先が見つかる可能性があります。
現在の不動産会社へ、次の点を確認してみましょう。
- どのような購入者を想定しているか
- どの媒体へ広告を掲載しているか
- 問い合わせや内覧でどのような反応があったか
- 価格を見直す時期をどう考えているか
- 買取や他社への相談も可能か
説明が曖昧な場合は、別の不動産会社にも査定を依頼し、販売方針を比較します。
売却条件や物件情報が買主に伝わっていない
価格や物件に大きな問題がなくても、売却条件が分かりにくいと、購入希望者が問い合わせをためらうことがあります。
- 引き渡し時期が分からない
- 家財を残せるのか判断できない
- 修繕履歴や不具合が掲載されていない
- 土地の境界や接道状況が分からない
- 内覧できる日時が限られている
空き家の欠点を隠すのではなく、現在分かっている状態と売却条件を整理して伝えることが重要です。
買主が購入後の費用や利用方法を判断できる情報を用意すると、条件に合った人からの問い合わせにつながりやすくなります。
空き家が売れない原因別の対処法
空き家が売れないときの対処法は、原因によって異なります。
| 主な原因 | 確認すること | 対処法 |
|---|---|---|
| 価格が高い | 周辺の成約事例・査定根拠 | 価格や販売条件を見直す |
| 建物の老朽化 | 必要な修繕費・解体費 | 現状売却・買取・古家付き土地を比較 |
| 土地条件の問題 | 接道・形状・高低差・境界 | 隣地への売却や土地買取も検討 |
| 地域需要が少ない | 移住・事業利用などの需要 | 地域の不動産会社・空き家バンクへ相談 |
| 家財が多い | 処分が必要な範囲 | 片付け前に現状査定を受ける |
| 権利関係の問題 | 名義・共有者・境界 | 司法書士・土地家屋調査士などへ相談 |
| 販売方法が合わない | 広告媒体・想定する買主 | 会社や仲介・買取の方法を見直す |
| 条件が不明確 | 引き渡し・残置物・不具合 | 買主が判断できる情報を整理する |
売出価格を見直す
価格を下げる場合は、所有者の希望だけでなく、周辺の取引価格と購入後に必要な費用を確認します。
ただし、反応がないたびに少額ずつ値下げを繰り返すと、購入希望者から「さらに下がるのではないか」と待たれる可能性もあります。
不動産会社と相談し、価格を見直す時期と金額をあらかじめ決めておきましょう。
別の不動産会社にも査定を依頼する
一社で売れないと言われても、すべての不動産会社が同じ販売方法を使うわけではありません。
複数の会社へ査定を依頼するときは、査定額だけでなく、次の内容を比較します。
- 査定額の根拠
- 想定している購入者
- 売却までにかかる期間の見通し
- 広告や販売活動の内容
- 仲介と買取の対応可否
高い査定額を提示した会社が、必ずその価格で売却できるとは限らない点に注意してください。
仲介から買取へ切り替える
一般の購入希望者を探す仲介で長期間売れない場合は、不動産会社による買取も選択肢です。
買取では不動産会社が買主になるため、一般の購入者が現れるまで待つ必要がありません。
一方で、不動産会社は購入後の修繕、解体、再販売にかかる費用やリスクを考慮します。
そのため、仲介で購入者を探す場合より売却価格が低くなることがあります。
価格を重視するなら仲介、早さや手間の少なさを重視するなら買取という違いを理解して比較しましょう。
空き家バンクや地域の不動産会社へ相談する
田舎や郊外の物件では、地域外の不動産会社より、現地の需要を知る不動産会社の方が買主を探しやすいことがあります。
自治体の空き家バンクでは、移住希望者や地域で住宅を探している人へ物件情報を届けられる可能性があります。
ただし、登録しただけで売却が保証される制度ではありません。
登録条件、仲介方法、家財処分や改修の補助制度などを、空き家がある市区町村へ確認してください。
隣地所有者への売却や譲渡を検討する
一般の購入希望者には使いにくい土地でも、隣地所有者にとって価値がある場合があります。
- 庭や駐車スペースを広げられる
- 土地の形を整えられる
- 接道条件を改善できる可能性がある
- 隣接する老朽空き家への不安を解消できる
無償で譲渡する場合でも、相手の同意、所有権移転登記、税金などの確認が必要です。
売却・解体・土地活用を比較する
建物の状態が悪い場合でも、すぐに解体するのではなく、次の金額を比較してから判断します。
- 建物を残した状態での査定額
- 建物の解体費用
- 解体後の土地の想定売却価格
- 土地を活用する場合の初期費用と収支
土地の需要が少なければ、更地にしても売れない可能性があります。
反対に、立地や土地の広さによっては、駐車場、貸し土地、賃貸住宅などの活用方法を検討できる場合があります。
空き家が売れないときに避けたい行動
査定前に建物を解体する
建物を解体すると、古家を修繕して利用したい買主へ売る選択肢がなくなります。
また、接道条件などに問題があり、解体後に新しい建物を建てにくい土地もあります。
現状査定、解体見積もり、解体後の土地価格を確認してから判断しましょう。
売却前に高額なリフォームをする
リフォームをすれば、必ず工事費以上に高く売れるわけではありません。
買主が自分の好みに合わせて改修したい場合、売主が行った工事が評価されないこともあります。
大規模な工事は、不動産会社へ売却方法を相談してから判断します。
査定前に家財をすべて処分する
家財が残っている状態でも、不動産の査定を受けることはできます。
先に高額な処分費用を支払わず、売却方法と必要な片付けの範囲を確認してください。
査定額の高さだけで会社を選ぶ
査定額は、その価格で売却できることを保証するものではありません。
根拠が明確でない高額査定で売り出し、問い合わせがないまま値下げを繰り返すケースも考えられます。
査定額だけでなく、販売方法や想定する購入者まで比較しましょう。
空き家が売れないときの相談先
相談先は、空き家が売れない原因によって異なります。
| 相談したい内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 売却価格・販売方法・買取 | 不動産会社 |
| 相続登記・所有権移転登記 | 法務局・司法書士 |
| 土地の境界・測量 | 土地家屋調査士 |
| 共有者との争い・複雑な権利問題 | 弁護士 |
| 解体費用・工事方法 | 解体業者 |
| 空き家バンク・補助制度 | 市区町村の空き家担当窓口 |
| 売却時の税金 | 税務署・税理士 |
最初からすべての専門家へ相談する必要はありません。
まず不動産会社へ現状のまま査定を依頼し、売れない原因を確認します。
その結果、名義、境界、解体などの問題が見つかった場合に、必要な専門家へ相談する流れが現実的です。
空き家が売れない場合によくある質問
空き家は値下げすれば必ず売れますか?
値下げをしても必ず売れるとは限りません。
土地の接道、境界、名義、地域需要など、価格以外に原因がある場合は、値下げだけでは解決できないことがあります。
問い合わせがない原因を確認してから価格を見直しましょう。
田舎の空き家でも売却できますか?
田舎の空き家でも売却できる可能性はあります。
ただし、一般的な住宅需要が少ない地域では、移住、二拠点生活、事業利用など、別の需要も確認する必要があります。
地域の不動産会社や空き家バンクにも相談してください。
家財を片付けないと売り出せませんか?
家財が残っていても査定を受けられます。
仲介では内覧前に一定の片付けを求められることがありますが、買取では残置物を含めて相談できる場合があります。
先にすべて処分せず、不動産会社へ必要な範囲を確認しましょう。
空き家を解体すれば売れやすくなりますか?
更地にすると土地の利用方法が分かりやすくなる可能性はありますが、必ず売れるわけではありません。
土地需要が少ない、接道や地形に問題がある、解体費用が土地価格を上回るなどのケースもあります。
解体前に、建物付きの査定額と解体後の土地価格を比較してください。
一社から売れないと言われたら諦めるべきですか?
一社の判断だけで諦める必要はありません。
会社によって得意な地域、購入者層、仲介・買取の対応範囲が異なります。
査定額の根拠や販売方法を確認し、必要に応じて別の会社にも相談しましょう。
まとめ|空き家が売れない原因に合った方法へ切り替える
空き家が売れない主な理由は、次の8つです。
- 売出価格が周辺相場より高い
- 建物の老朽化や修繕費の負担が大きい
- 土地の接道・形状・高低差に問題がある
- 田舎や郊外で購入希望者が少ない
- 家財や残置物が大量に残っている
- 名義・共有者・境界が整理されていない
- 不動産会社や販売方法が物件に合っていない
- 売却条件や物件情報が買主へ伝わっていない
問い合わせがないからといって、すぐに大幅な値下げや解体をする必要はありません。
問い合わせ、内覧、購入申し込み、契約のどの段階で止まっているのかを確認し、その原因に合った対処法を選ぶことが大切です。
仲介で売れない場合は、別の不動産会社への相談、買取、空き家バンク、隣地への売却、解体後の売却なども比較しましょう。

この記事を書いた人
地方生活サポートハウス編集部
地方暮らしや住宅メンテナンス、
空き家管理に関する情報を発信しています。
実体験や専門家監修をもとに、
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