空き家を所有していると、倒壊や雑草、防犯だけでなく、火災にも注意が必要です。
人が住んでいない家は火を使わないため「火事にはなりにくい」と思われがちですが、放火、不法侵入者による火気、電気設備、枯れ草・可燃物などをきっかけに火災が起こる可能性があります。
さらに、空き家では異変に気付く人がいないため、通報や初期消火が遅れ、隣家へ延焼する危険が大きくなることがあります。

空き家は「誰も住んでいないから火災と無縁」ではありません。重要なのは、燃えやすい物を放置せず、侵入されにくくし、定期的に状態を確認することです。
| 確認したいこと | ポイント |
|---|---|
| 主な原因 | 放火・不法侵入者の火気・電気設備・枯れ草や可燃物 |
| 危険性 | 発見・通報が遅れ、延焼が広がる可能性 |
| 所有者の責任 | 火災原因や管理状態によって個別に判断 |
| 火災保険 | 空き家を引き受ける商品はあるが条件は保険会社・商品で異なる |
| 予防対策 | 施錠・可燃物撤去・草刈り・電気やガスの確認・定期巡回 |
この記事では、空き家で火災が起こる原因、火災件数の見方、実際の事例、隣家へ延焼した場合の責任・損害賠償、火災保険、具体的な予防対策を解説します。

この記事の監修者
小野|不動産監修者
・不動産業界歴14年
・宅地建物取引士(宮崎県登録)
・FP2級
・取引実績:約300件
・専門分野:空き家売却・相続不動産・不動産査定・賃貸管理
不動産売買、売買仲介、賃貸管理業務に従事。
これまで約300件の不動産取引に携わり、空き家や相続不動産に関する相談・売却案件も多数担当。
本記事では実務経験と保有資格をもとに監修を行っています。
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空き家を所有していると、施錠や見回りだけでなく、枯れ草・落ち葉・可燃物の撤去、建物の修繕など、火災を防ぐための管理も必要になります。 今後自分や家族が住む予定がなく、火災対策や管理を何年も続けるか迷っている場合は、 現在いくらで売れそうかを確認して、所有を続ける場合と比較してみましょう。
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空き家で火災が起きる主な原因
空き家そのものが直ちに火災を起こしやすいわけではありません。しかし、管理されない状態が続くと、草木や可燃物が増えたり、扉や窓が壊れて人が入りやすくなったりして、火災が発生・拡大しやすい条件が重なることがあります。
2026年3月に総務省消防庁が策定した「密集住宅市街地における空き家等に対する火災予防ガイドライン」でも、草木の繁茂、大量の落ち葉・枯れ草、可燃物の放置、扉や窓の大きな破損などを、火災予防上管理が不十分な状態の目安として挙げています。
参考:総務省消防庁「密集住宅市街地における空き家等に対する火災予防ガイドライン」
放火
空き家で特に警戒したい原因の一つが放火です。
郵便物がたまっている、草木が生い茂っている、窓や扉が壊れている、ごみや段ボールなどが放置されていると、「人が管理していない場所」に見えやすくなります。
消防庁のガイドラインでも、空き家の火災予防措置として、むやみに人が出入りできないよう施錠すること、着火物になり得る可燃物を周囲に放置しないことなどが示されています。
空き家への侵入対策は空き家の防犯対策で詳しく解説しています。
不法侵入者によるたばこ・火気
盗難目的でなくても、空き家へ人が入り込み、たばこ、ライター、暖房器具などの火気を使うことがあります。
室内に布類、紙類、古い家具などが大量に残っていれば、小さな火種でも燃え広がる可能性があります。
電気機器・配線設備
空き家でも電気契約を残し、ブレーカーを入れたままにしているケースがあります。
消防庁の2025年の全国火災統計では、全火災40,783件のうち「電気機器」が3,240件でした。また、建物火災22,345件では「電気機器」2,541件、「配線器具」1,619件、「電灯電話等の配線」1,160件となっています。
これらは空き家だけの数字ではありませんが、電気設備が火災原因になり得ることを示しています。
空き家で電気を使う必要がない場合は、契約状況や必要設備を確認したうえで電気を遮断することも検討します。防犯カメラ、給湯設備、凍結防止装置などのために通電が必要な場合もあるため、単純に「必ずブレーカーを落とす」とは考えず、設備に応じて判断してください。
枯れ草・落ち葉・ごみへの引火
敷地に大量の枯れ草、落ち葉、段ボール、木材、廃タイヤなどが残っていると、火が付いた際の燃料になります。
消防庁の2026年ガイドラインでも、大量の落ち葉・枯れ草や可燃物の放置は、火災予防上管理が不十分な状態の目安として明記されています。
雑草や枯れ草の管理方法は空き家の雑草対策を参考にしてください。
空き家の火災件数はどのくらい?
「空き家では年間何件の火災が起きているのか」と気になる方もいるでしょう。
総務省消防庁の2025年(令和7年)の火災統計では、全国の総出火件数は40,783件、建物火災は22,345件でした。出火原因は、たばこ3,479件、たき火3,303件、電気機器3,240件、こんろ2,850件、放火2,392件などです。放火と「放火の疑い」を合わせると4,041件でした。
ただし、消防庁が公表している年次の主要統計では、「空き家だけの全国火災件数」を独立した項目として確認できる形にはなっていません。そのため、「全国の空き家火災は年間○件」と根拠なく断定するのは避ける必要があります。
実際に起きた空き家と火災の事例
空き家が多い地域では、火災が起きたときの延焼拡大も大きな課題になります。
大分市佐賀関の大規模火災
2025年11月18日、大分県大分市佐賀関で大規模火災が発生しました。消防庁・国土交通省の2026年3月資料によると、死者1人、負傷者1人、焼損棟数196棟、焼損範囲は約6.39haに及びました。
この地域は密集住宅市街地で、空き家が比較的多く、火災予防上管理が不十分な空き家も散見されたとされています。また、火元建物に隣接する2棟は空き家でした。
この火災の出火原因が空き家だったという意味ではありません。消防庁資料では、焼損が激しく火源を特定できる物証がなく、出火原因は「不明」とされています。空き家の存在は、大規模延焼時の地域防火を考えるうえでの課題として示されています。
この火災を受け、消防庁は2026年3月に密集住宅市街地の空き家等に対する火災予防ガイドラインを策定しました。
参考:消防庁・国土交通省「大分市大規模火災の教訓を踏まえた今後の消防防災対策」
空き家火災が危険な理由
発見・通報が遅れやすい
人が住んでいる住宅なら、煙や異臭、警報音などに住人が気付き、早く通報できる可能性があります。
一方、空き家では室内に人がいないため、近隣住民が煙や炎を発見するまで火災に気付かれないことがあります。
消防庁のガイドラインでも、管理が不十分な空き家では、火災発生時に消防への通報や初期消火が遅れ、延焼拡大の要因になる可能性があるとしています。
隣家へ延焼する可能性がある
住宅が近接する地域では、自分の空き家だけが焼けて終わるとは限りません。
外壁、屋根、カーポート、物置、庭木などを通じて隣家へ火が広がったり、強風時には飛び火で離れた場所へ延焼したりすることがあります。
火災後も解体・がれき処理などの負担が残る
火災で建物が大きく損傷すると、焼け残った建物の安全確認、解体、がれき処理、近隣への対応などが必要になります。
「どうせ古い空き家だから燃えても損失は少ない」とは考えず、火災後の費用や周囲への影響まで考えておくことが大切です。
空き家で火事が起きたら所有者に責任はある?
空き家で火災が起きたからといって、所有者が必ず隣家の損害をすべて賠償するわけではありません。一方で、原因や管理状態によって責任が問題になることはあります。
一般の失火では「失火責任法」が関係する
日本には「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」があり、失火の場合、民法709条に基づく不法行為責任は、失火者に重大な過失がある場合を除いて原則として適用しないと定められています。
つまり、隣家へ燃え移ったからといって、常に火元側が全損害を賠償する仕組みではありません。
管理状態や建物の欠陥が問題になることもある
一方、民法717条では、土地の工作物の設置・保存に瑕疵があり、それによって他人に損害が生じた場合の責任を定めています。
空き家火災では、出火原因、建物や設備の状態、所有者が危険を把握していたか、どのような管理をしていたかなど、個別事情によって法的評価が変わります。
「失火責任法があるから空き家を放置しても賠償責任は生じない」「放火されたなら所有者は絶対に責任を負わない」といった一律の判断はできません。実際の損害が発生した場合は、保険会社や弁護士など専門家へ相談してください。
放火された場合はどうなる?
第三者による放火が原因なら、まず放火した人物の刑事責任・民事責任が問題になります。
ただし、所有者側についても、建物や敷地の管理状況が別の法的問題として争われる可能性はあります。被害内容や原因によって結論が変わるため、個別に確認する必要があります。
空き家でも火災保険は必要?
空き家になっても、火災、風災、盗難などのリスクがなくなるわけではありません。そのため、建物を保有し続けるなら火災保険を検討する価値があります。
ただし、一般の居住中の住宅と同じ条件で必ず加入・継続できるわけではありません。
日本損害保険協会は、火災保険について建物の用途に応じて住宅物件・一般物件などに分類し、それぞれに対応する商品があると説明しています。また、あいおいニッセイ同和損保も、一部の商品では空き家を保険対象とする一方、詳細は個別確認が必要と案内しています。
相続や転居で居住していた家が空き家になった場合は、現在加入中の保険会社や代理店へ連絡し、空き家になったこと、今後の使用予定、家財の有無を伝えたうえで、継続可否や補償内容を確認してください。
参考:日本損害保険協会「すまいの保険について」
あいおいニッセイ同和損保「空家に火災保険を掛けることはできますか?」
空き家の火災保険料に一律の相場はない
空き家の火災保険料は、建物の用途・構造・所在地・築年数・補償内容・保険金額・引受条件などで変わります。
そのため「空き家なら年間○円が相場」と一律に示すのは適切ではありません。保険料や加入できる会社を詳しく比較する場合は、火災リスク記事とは分けて確認するのがおすすめです。
空き家火災を防ぐための予防対策
消防庁の2026年ガイドラインでは、火災予防上の措置として、施錠、可燃物の除去、ガス・電気の確実な遮断、危険物品の除去、老朽化した屋根・外壁などの修繕が示されています。
出入口を施錠して不法侵入を防ぐ
玄関だけでなく、勝手口、窓、物置なども確認します。窓ガラスや扉が壊れたままだと、人が入りやすくなるだけでなく、火災予防上も望ましくありません。
必要に応じて鍵交換、防犯カメラ、センサーライトなども検討してください。
枯れ草・落ち葉を取り除く
草刈り後の枯れ草や大量の落ち葉も放置せず、敷地を清潔に保ちます。
特に建物周辺や道路沿いに可燃物が集まっている場合は、火を付けられたり、飛び火を受けたりした際に燃え広がる原因になります。
家財・ごみ・危険物を片付ける
段ボール、古家具、布類、木材などを大量に残さないようにします。また、スプレー缶、塗料、灯油、ガスボンベなどの危険物品も適切に整理・処分しましょう。
家財が多く自分では整理できない場合は、空き家の片付け費用も参考にしてください。
電気・ガスの使用状況を整理する
長期間使わない設備が通電・通ガスされたままになっていないか確認します。
ただし、防犯設備や凍結防止などに電源が必要なこともあります。設備や季節条件を確認し、必要に応じて電気工事業者、ガス会社などへ相談してください。
建物の破損を放置しない
壊れた窓、開いたままの扉、破損した屋根・外壁は、不法侵入や飛び火への弱さにつながることがあります。
大きな破損がある場合は、そのままにせず、修繕するか、今後使わない建物なら売却・解体まで含めて検討しましょう。
定期的に現地を確認する
訪問時には、次の点を確認します。
- 扉・窓の施錠と破損
- 不法侵入やたばこの吸い殻などの形跡
- 枯れ草・落ち葉・ごみ
- 危険物や可燃物
- 電気・ガス設備
- 屋根・外壁などの破損
「月1回なら十分」といった全国一律の安全基準はありません。距離、季節、建物状態、周囲の環境に応じて確認頻度を決め、自分で行けない期間は親族や管理サービスで補う方法があります。
遠方で火災対策まで管理できない場合

相続した実家が県外にあるなど、自分で定期的に確認できない場合は、空き家管理サービスを利用する方法があります。
外観巡回、施錠確認、郵便物、庭木・雑草、室内の換気・通水などを依頼できるサービスがあります。ただし、火災監視や異常時の駆けつけが標準で含まれるとは限りません。
防火を重視する場合は、契約前に「火災センサーの有無」「異常時の連絡・駆けつけ」「電気・ガス設備の確認範囲」まで確認してください。
料金やサービス内容は空き家管理サービスの費用相場、遠方管理の選択肢は遠方の空き家を管理できないときの対処法で詳しく解説しています。
今後使わない空き家は売却・解体も検討する

今後住む予定がなく、毎年の草刈り・修繕・防犯・火災対策が負担になっているなら、保有を続ける期限を決めることも重要です。
まず不動産会社へ査定を依頼し、建物を残したまま売却できるか確認します。古く傷みが大きい場合でも、先に解体すると固定資産税や売却方法に影響することがあるため、売却と解体を比較してから判断しましょう。

空き家の処分方法をまとめて比較したい場合はいらない空き家を処分する方法をご覧ください。
空き家火災に関するよくある質問
- Q空き家の火災は何が原因で起こりますか?
- A
放火、不法侵入者による火気、電気設備、枯れ草や落ち葉などへの引火が考えられます。原因は現場ごとに異なるため、施錠・可燃物撤去・電気やガスの確認・定期巡回を組み合わせて予防することが大切です。
- Q空き家が火事になり隣家へ延焼したら必ず賠償が必要ですか?
- A
必ず全額賠償するとは限りません。失火責任法では、一般の失火について民法709条の責任を重過失がある場合に限定しています。一方、建物の状態や管理状況など別の法的論点が生じることもあるため、具体的な事故では専門家へ確認してください。
- Q空き家でも火災保険に入れますか?
- A
空き家を引き受ける火災保険商品はありますが、すべての商品で加入できるわけではありません。建物の使用状況や管理状態などで条件が変わるため、保険会社・代理店へ空き家であることを伝えて確認してください。
- Q空き家の火災保険料の相場はいくらですか?
- A
一律の相場はありません。用途、構造、所在地、築年数、補償範囲、保険金額、保険会社の引受条件などによって変わります。複数の保険会社・代理店へ条件を伝えて確認するのが確実です。
- Q使わない空き家はブレーカーを落とした方がよいですか?
- A
電気をまったく使わないなら遮断を検討できますが、防犯カメラ、凍結防止設備などに電源が必要なケースもあります。設備を確認せず一律に落とすのではなく、必要に応じて電気工事業者などへ相談してください。
まとめ
空き家の火災は、放火、侵入者の火気、電気設備、枯れ草・可燃物など複数の原因から起こる可能性があります。
この記事のポイント
- 空き家だから火災が起きないわけではない
- 管理不足の空き家は通報・初期消火が遅れ、延焼拡大につながることがある
- 草木・枯れ草・可燃物・壊れた扉や窓を放置しない
- 施錠し、不法侵入と放火への対策を行う
- 失火による延焼の賠償は失火責任法などにより個別判断となる
- 空き家を引き受ける火災保険はあるが、商品ごとに条件が異なる
- 遠方で管理できないなら管理サービスや売却・解体も比較する
火災が起きてから対処するのではなく、施錠、草刈り、片付け、設備確認、定期巡回を組み合わせて、燃えやすく侵入されやすい状態を作らないことが重要です。

この記事を書いた人
地方生活サポートハウス編集部
地方暮らしや住宅メンテナンス、
空き家管理に関する情報を発信しています。
実体験や専門家監修をもとに、
分かりやすい情報提供を心がけています。

