空き家を所有している方の中には、「特定空家とは何か」「誰が決めるのか」「指定されると固定資産税はどうなるのか」と不安に感じている方もいるでしょう。

特定空家とは簡単に言うと、
「周囲へ悪影響を及ぼしている危険な空き家」
のことです。
特定空家とは、簡単にいえば倒壊・衛生・景観などの面で周囲へ著しい悪影響を及ぼす、または及ぼすおそれがある空き家です。すべての空き家が対象になるわけではなく、市区町村が建物や敷地の状態、周辺への影響などを確認したうえで判断します。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 特定空家とは | 周囲へ著しい悪影響を及ぼす、または及ぼすおそれがある空き家 |
| 誰が決める? | 市区町村が現地の状況などを踏まえて判断 |
| 管理不全空家との違い | 管理不全空家は特定空家になるおそれがある前段階 |
| 勧告を受けると | 住宅用地特例の対象外となり、土地の固定資産税負担が増える場合がある |
| さらに放置すると | 特定空家では命令・代執行へ進む場合がある |
特に現在は、特定空家になる前の段階として「管理不全空家」という区分があります。2023年12月13日に施行された改正空家法により、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家についても、市区町村が指導・勧告できるようになりました。
この記事では、特定空家の定義と指定基準、管理不全空家との違い、誰が決めるのか、指定までの流れ、固定資産税への影響、行政代執行、通報先、指定後の対策まで分かりやすく解説します。

この記事の監修者
小野|不動産監修者
・不動産業界歴14年
・宅地建物取引士(宮崎県登録)
・FP2級
・取引実績:約300件
・専門分野:空き家売却・相続不動産・不動産査定・賃貸管理
不動産売買、売買仲介、賃貸管理業務に従事。
これまで約300件の不動産取引に携わり、空き家や相続不動産に関する相談・売却案件も多数担当。
本記事では実務経験と保有資格をもとに監修を行っています。
※特定空家・管理不全空家に該当するかどうかや、行政措置の内容は個別の状況によって異なります。実際の判断は市区町村が行うため、所有する空き家について不安がある場合は所在地の自治体へご確認ください。
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特定空家とは?
特定空家(法律上は「特定空家等」)は、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)で定められています。空家法は2015年5月に全面施行され、2023年には管理不全空家の新設などを含む改正が行われました。
法律上、特定空家等は大きく次の4つの状態にある空家等とされています。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
国土交通省は、この法律上の区分に基づき、管理不全空家・特定空家の判断に参考となる基準や措置の進め方をガイドラインで示しています。
国土交通省の最新情報は、空き家対策特設サイトや、管理不全空家等及び特定空家等に対する措置のガイドラインで確認できます。
普通の空き家だからすぐ特定空家になるわけではない

誰も住んでいない家でも、定期的に管理され、建物や敷地が周囲へ大きな悪影響を与えていなければ、それだけで特定空家になるわけではありません。
一方で、建物の傾きや屋根・外壁の破損、ゴミの放置、悪臭、庭木の著しい越境などが進み、周囲への影響が大きくなると、管理不全空家や特定空家として行政の対応対象になる可能性があります。
相続した実家を長期間そのままにするリスクは、相続した実家を放置するとどうなる?でも整理しています。
管理不全空家と特定空家の違い
現在の空家法では、状態が悪化した空き家をいきなり特定空家として扱うだけでなく、その前段階にあたる管理不全空家等についても対策できる仕組みになっています。
| 区分 | 状態のイメージ | 市区町村が行える主な措置 |
|---|---|---|
| 通常の空き家 | 適切に管理され、周囲への大きな悪影響がない | 情報提供・助言など |
| 管理不全空家 | 放置すれば特定空家になるおそれがある | 指導 → 勧告 |
| 特定空家 | 周囲へ著しい悪影響を及ぼす、またはそのおそれがある | 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 代執行 |
管理不全空家とは?
管理不全空家とは、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある空き家です。たとえば、屋根や外壁の一部が破損している、立木の枝が敷地外へはみ出し始めているなど、さらに状態が悪化すると周辺へ大きな影響を及ぼすおそれがあるケースが考えられます。
管理不全空家に対しては、市区町村がまず指導を行い、それでも改善されず、特定空家になるおそれが大きいと認められる場合には勧告を行うことができます。管理不全空家には、特定空家のような命令・代執行の規定はありません。
管理不全空家でも固定資産税に影響する
重要なのは、固定資産税への影響は特定空家だけの問題ではないことです。管理不全空家でも市区町村から勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象外となる場合があります。
空き家の固定資産税や住宅用地特例の仕組みについては、空き家の固定資産税はいくら?仕組みと税負担が増えるケースで詳しく解説しています。
特定空家は誰が決める?
特定空家かどうかを判断するのは、空き家がある市区町村です。所有者自身や近隣住民が「この家は特定空家だ」と決めるものではありません。
市区町村は、空き家の状態や周辺への影響を調査し、国のガイドラインや地域の実情なども踏まえて、管理不全空家・特定空家に該当するかを総合的に判断します。
放置年数だけでは決まらない
特定空家は「何年間空き家なら認定される」という仕組みではありません。長期間使われていなくても適切に管理されている家がある一方、比較的短期間でも台風や老朽化などで建物が急速に危険な状態になることがあります。

特定空家は「空き家だから指定される」のではなく、
「危険な状態だから指定される」と考えると分かりやすいです。
近所の危険な空き家はどこに通報・相談する?
近隣の空き家について、屋根材が落ちそう、庭木が道路へ大きく越境している、ゴミや害虫で生活環境に影響が出ているといった問題がある場合は、空き家が所在する市区町村の空き家対策担当窓口へ相談するのが基本です。
自治体によって窓口名は「住宅政策課」「建築指導課」「空家対策室」など異なります。相談する際は、住所や危険な箇所、いつ頃から問題が起きているかなど、分かる範囲で伝えると状況を確認してもらいやすくなります。
火災や不法侵入など、空き家で起きやすいトラブルについては、空き家の火災リスク、空き家の防犯対策も参考にしてください。
特定空家に指定される主な4つの基準
特定空家の判断では、法律で示された4つの状態をもとに、建物や敷地の状況、周辺への影響などが総合的に確認されます。単に「見た目が古い」「雑草が少し伸びている」といった一つの事情だけで機械的に決まるわけではありません。
倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある
代表的なのは、建物の老朽化によって安全性が低下しているケースです。
- 建物が大きく傾いている
- 柱や梁などの構造部材が腐食・破損している
- 屋根材や外壁が落下するおそれがある
- 門・塀・屋外階段などが倒壊するおそれがある
強風や地震などをきっかけに周囲へ被害が及ぶおそれがある場合は、特定空家の判断材料になります。
著しく衛生上有害となるおそれがある
衛生面で周辺の生活環境へ大きな影響を及ぼす場合も対象になります。
- 大量のゴミが放置され、悪臭が発生している
- 害虫・害獣が多数発生している
- 排水や汚物などにより衛生上の問題が生じている
空き家内部だけの問題ではなく、近隣住民の生活環境へどの程度影響しているかも重要です。
著しく景観を損なっている
適切な管理が行われておらず、建物や敷地が著しく荒廃し、地域の景観へ大きな影響を及ぼしている状態も判断基準の一つです。
ただし、単に「古い家だから」「見た目が好みではないから」という理由だけで特定空家になるわけではありません。周辺の状況や地域の実情も含めて判断されます。
その他、周辺の生活環境を守るため放置が不適切な状態
前の3つに明確に当てはまらなくても、そのまま放置することで周辺の生活環境へ大きな影響が出る場合があります。
- 立木の枝や根が道路・隣地へ著しく越境している
- 動物が住みつき周囲へ被害を与えている
- 窓や扉が壊れ、不特定の人が容易に侵入できる状態になっている
- 落雪・落氷などで通行人や隣家へ危険が及ぶおそれがある
雑草や庭木の管理については、空き家の雑草対策もあわせて確認してください。
特定空家に指定される流れ
自治体へ通報があったからといって、すぐに特定空家として行政代執行されるわけではありません。一般的には、所有者や建物の状態を確認したうえで、必要に応じて段階的に措置が進みます。
| 段階 | 主な内容 |
|---|---|
| 1.空き家の把握・調査 | 現地の状態や所有者などを確認 |
| 2.管理不全空家への対応 | 必要に応じて指導・勧告 |
| 3.特定空家への助言・指導 | 修繕・伐採・除却など必要な改善を求める |
| 4.勧告 | 改善されない場合に具体的な措置を勧告 |
| 5.命令 | 勧告に従わない場合、必要な措置を命令 |
| 6.代執行 | 要件を満たす場合、市区町村が所有者に代わって措置 |
まずは助言・指導
特定空家に対しては、まず市区町村から所有者へ、除却・修繕・立木竹の伐採など必要な措置について助言や指導が行われます。この段階で適切に改善すれば、より重い措置へ進むことを避けられる可能性があります。
改善されない場合は勧告
助言・指導を受けても状態が改善されない場合は、勧告へ進むことがあります。勧告を受けると、固定資産税等の住宅用地特例の対象外となる場合があるため、税負担にも影響します。
さらに放置すると命令
勧告に従わない場合は、市区町村長から必要な措置を命令されることがあります。国土交通省の案内では、命令に従わない場合は50万円以下の過料が科されるおそれも示されています。
最終的には行政代執行・緊急代執行もある
命令後も必要な措置が行われないなど一定の要件を満たす場合は、行政代執行として市区町村が所有者に代わり除却などを行うことがあります。費用は原則として所有者から徴収されます。

例えば、危険な建物の解体などが実施される場合があります。
そして、その費用は原則として所有者へ請求されます。
また、2023年の改正空家法では、災害などで危険が差し迫り、命令などの事前手続きを行う時間がない場合に対応する緊急代執行の仕組みも設けられています。
特定空家は「指定されたら直ちに強制解体される制度」ではありません。一方で、行政からの連絡を放置すると、税負担や工事費用など大きな負担につながる可能性があります。
特定空家・管理不全空家と固定資産税
特定空家について検索する方が特に気になるのが固定資産税です。住宅が建っている土地では、一定の要件のもとで住宅用地の特例が適用され、土地の固定資産税などの課税標準が軽減されています。
しかし、管理不全空家または特定空家として市区町村から勧告を受けた敷地は、この住宅用地特例の対象外となる場合があります。
| 状態 | 住宅用地特例への影響 |
|---|---|
| 適切に管理された住宅用地 | 要件を満たせば特例の対象 |
| 管理不全空家・指導段階 | 直ちに特例が外れるという意味ではない |
| 管理不全空家・勧告 | 特例の対象外となる場合がある |
| 特定空家・勧告 | 特例の対象外となる場合がある |
よく「特定空家になると固定資産税が6倍になる」と言われますが、実際の納税額が必ず6倍になるわけではありません。小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が価格の6分の1になる仕組みがあるため、その特例が外れることから「6倍」と表現されることがあります。実際の税額は評価額や負担調整措置などにも左右されます。
固定資産税の基本や住宅用地特例は空き家の固定資産税、建物を解体した場合の税負担は空き家を解体すると固定資産税はどうなる?で詳しく解説しています。
特定空家に指定された・指導を受けたときの対策
自治体から連絡が来た場合は、放置せず何を、いつまでに、どの程度改善する必要があるのかを確認しましょう。状態によっては、必ずしも建物全体を解体しなければならないとは限りません。
指摘された危険箇所を修繕・撤去する
屋根や外壁の落下、塀の傾きなど一部の危険箇所が問題になっている場合は、必要な修繕や撤去によって状態を改善できる可能性があります。自治体から具体的な指摘がある場合は、その内容をもとに専門業者へ相談しましょう。
雑草・庭木・ゴミなど敷地を整える
建物だけでなく、雑草、庭木、ゴミ、不法投棄物などが周囲へ影響している場合は、それらの除去・管理も必要です。定期的な見回りや敷地管理を続けることで、状態の再悪化を防ぎます。
今後使わないなら売却・解体も比較する

今後住む予定や活用予定がない空き家では、修繕して維持するだけでなく、売却や解体も検討します。ただし、売却する可能性があるなら、先に解体せず現状のまま査定を受けるのが基本です。
そのまま売る場合と解体して更地にする場合の比較は、空き家は解体してから売る?そのまま売却?で詳しく解説しています。解体する場合の費用は空き家の解体費用も確認してください。
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特定空家の指定・認定は解除できる?
問題となっていた状態を修繕・除却・伐採などで改善し、特定空家に該当する状態ではなくなれば、その後の行政措置の必要性も変わります。ただし、所有者が「直したから自動的に解除された」と判断するのではなく、対応後は市区町村へ連絡し、状態を確認してもらうことが大切です。
自治体から勧告や命令を受けている場合は、どの措置を行えば改善と認められるのか、事前に担当窓口へ確認してから進めると安心です。
特定空家・管理不全空家にならないための対策
定期的に空き家を見回る
空き家管理の基本は定期的な状態確認です。建物の外観、雨漏り、郵便物、窓や扉、防犯、庭の状態などを確認し、小さな異常のうちに対応しましょう。
自分で管理する場合の作業や頻度は、空き家管理は自分でできる?必要な作業と頻度でまとめています。
雑草・庭木を放置しない
雑草や庭木は短期間でも大きく伸び、隣地への越境、害虫、通行の妨げなどにつながります。遠方に住んでいる場合は、家族や管理業者へ依頼する方法も検討しましょう。
建物の異常を早めに修繕する
雨漏りや屋根・外壁の破損を放置すると、構造部分まで傷み、修繕費が大きくなることがあります。台風や大雨の後などは特に状態を確認し、危険箇所があれば早めに専門業者へ相談してください。
利用予定がなければ方向性を決める
管理だけを何年も続けるのが難しい場合は、売却・買取・活用・解体など、空き家をどうするか早めに整理しましょう。選択肢全体はいらない空き家を処分する方法で比較できます。
特定空家についてよくある質問
特定空家の一覧は公開されていますか?
全国の個々の特定空家を一つにまとめた一般向けの公開一覧が常に提供されているわけではありません。自治体ごとに空家等対策計画や措置の実績などを公表している場合があるため、特定の地域について確認したい場合は、その市区町村の公式サイトや空き家担当窓口を確認してください。
特定空家は誰が決めるのですか?
空き家が所在する市区町村が、現地の状態や周辺への影響などを調査し、法律や国のガイドラインなどを踏まえて判断します。近隣住民からの通報が調査のきっかけになる場合はありますが、通報した人が特定空家に指定するわけではありません。
管理不全空家と特定空家の一番大きな違いは?
管理不全空家は「放置すれば特定空家になるおそれがある段階」、特定空家は「周囲へ著しい悪影響を及ぼす、または及ぼすおそれがある段階」と整理できます。また、管理不全空家への法的措置は指導・勧告までですが、特定空家では命令・代執行まで進む場合があります。
管理不全空家でも固定資産税は上がりますか?
管理不全空家に認定された時点で必ず税額が上がるわけではありません。ただし、市区町村から勧告を受けると、その敷地が住宅用地特例の対象外となり、土地の固定資産税などの負担が増える場合があります。
特定空家の解体に補助金は使えますか?
自治体によっては、老朽危険空家などの除却費用を補助する制度がありますが、全国一律ではありません。対象条件、補助率、上限額、申請時期などが自治体ごとに異なるため、工事契約や着工前に所在地の自治体へ確認してください。
相続した空き家でも特定空家になりますか?
相続した家であっても、空家法上の要件に該当する状態になれば、管理不全空家・特定空家として対応の対象になる可能性があります。相続後の手続きや管理については、空き家を相続したら何をする?も参考にしてください。
まとめ|特定空家になる前の「管理不全空家」の段階で対応する
特定空家とは、倒壊・衛生・景観などの面で周囲へ著しい悪影響を及ぼす、またはそのおそれがある空き家です。現在は、特定空家になる前の段階として管理不全空家も設けられており、早い段階から市区町村が指導・勧告できる仕組みになっています。
- 特定空家かどうかは市区町村が判断する
- 判断では法律上の4つの状態や周辺への影響などを確認する
- 管理不全空家は指導・勧告の対象になる
- 特定空家は助言・指導・勧告・命令・代執行へ進む場合がある
- 管理不全空家・特定空家とも、勧告を受けると住宅用地特例の対象外になる場合がある
- 行政から連絡が来たら放置せず、必要な修繕・管理・売却・解体を検討する
空き家を所有している場合は、「まだ大丈夫」と放置するのではなく、定期管理を続けるか、今後利用しないなら売却・解体などの方向性を早めに決めることが大切です。
固定資産税が気になる方は空き家の固定資産税、解体を考えている方は空き家の解体費用、売却と解体で迷っている方は空き家は解体してから売る?そのまま売却?へ進むと整理しやすくなります。
空き家の状態に合わせて、手放す方法を選びましょう
建物を解体する方法と、現状のまま買取を相談する方法があります。
※本ページはプロモーションを含みます。物件の状態や所在地などによって、対応可否や見積金額は異なります。
※特定空家・管理不全空家の判断基準や行政措置は、建物の状態や地域の実情によって異なります。固定資産税や補助制度の取り扱いも自治体ごとに異なるため、個別の空き家については所在地の自治体や専門家へご相談ください。

この記事を書いた人
地方生活サポートハウス編集部
地方暮らしや住宅メンテナンス、
空き家管理に関する情報を発信しています。
実体験や専門家監修をもとに、
分かりやすい情報提供を心がけています。

