相続した実家や使わなくなった空き家を解体しようとすると、「空き家を壊すと固定資産税が6倍になるのか」「解体するなら何月がいいのか」「建物がなくなるのに、なぜ税金が上がるのか」と疑問に思う方は多いでしょう。
- 空き家を壊すと固定資産税が6倍になるのか
- 解体するなら何月がいいのか
- 建物がなくなるのに、なぜ税金が上がるのか
- 解体後の固定資産税を軽くできる制度はないのか
先に結論をお伝えすると、空き家を解体すると、土地に適用されていた住宅用地の特例が外れ、翌年度以降の土地の固定資産税が上がる場合があります。
| 解体前後の状況 | 固定資産税の考え方 |
|---|---|
| 住宅が建っている | 土地に住宅用地特例が適用される場合がある |
| 住宅を解体して更地にする | 原則として住宅用地特例が外れる |
| 建物を解体する | 翌年度以降は建物分の固定資産税がなくなる |
| 年末までに解体する | 翌年1月1日に住宅がなければ土地の特例が外れる可能性 |
| 管理不全空家・特定空家で勧告を受ける | 解体前でも住宅用地特例の対象外になる場合がある |
| 自治体独自の負担軽減措置がある | 一定の要件で解体後の税負担が軽減される場合がある |
ただし、よくいわれる「空き家を解体すると固定資産税が6倍になる」という表現は正確ではありません。「6倍」という数字は、主に200㎡以下の小規模住宅用地について、土地の固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されていることから使われています。
解体後は建物そのものの固定資産税がなくなるほか、土地の税額には評価額や負担調整措置なども関係します。土地と建物を合わせた実際の納税額が、そのまま6倍になるわけではありません。

固定資産税だけを理由に空き家を残すのではなく、解体費用、現在の売却価格、解体後の土地価格、今後の管理費まで比較して判断しましょう。
この記事では、空き家を解体すると固定資産税が上がる仕組み、「6倍」といわれる理由、解体する時期、一部自治体の負担軽減措置、解体前に確認したいことを解説します。

この記事の監修者
小野|不動産監修者
・不動産業界歴14年
・宅地建物取引士(宮崎県登録)
・FP2級
・取引実績:約300件
・専門分野:空き家売却・相続不動産・不動産査定・賃貸管理
不動産売買、売買仲介、賃貸管理業務に従事。
これまで約300件の不動産取引に携わり、空き家や相続不動産に関する相談・売却案件も多数担当。
本記事では実務経験と保有資格をもとに監修を行っています。
※固定資産税・都市計画税・住宅用地特例の適用は、土地や建物の状態、自治体の取り扱いによって異なります。実際の税額や解体後の扱いは、市区町村の資産税担当や税理士などへご確認ください。
空き家を解体すると固定資産税が上がる場合がある
空き家を解体すると土地の固定資産税が上がる主な理由は、住宅用地の特例が適用されなくなるためです。
住宅が建っている土地には、一定の要件のもとで固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地特例があります。
| 住宅用地の区分 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|
| 小規模住宅用地 住宅1戸につき200㎡以下の部分 | 価格の6分の1 |
| 一般住宅用地 200㎡を超える部分 | 価格の3分の1 |
住宅用地特例については、国土交通省の空き家対策特設サイトでも確認できます。
住宅を解体すると住宅用地特例が外れる
住宅用地特例は、原則として毎年1月1日時点で住宅の敷地として利用されている土地に適用されます。
空き家を取り壊し、翌年1月1日時点で住宅が存在しない更地になっている場合は、原則として住宅用地特例を受けられなくなります。
その結果、建物分の固定資産税はなくなる一方、土地の課税標準が上がり、土地の固定資産税が解体前より高くなることがあります。
固定資産税そのものの仕組み、納税通知書の見方、住宅用地特例、管理不全空家・特定空家との関係をまとめて確認したい方は、空き家の固定資産税はいくら?仕組みと税負担が増えるケースもあわせてご覧ください。
空き家の管理・活用・解体・売却を含めて全体から整理したい方は、空き家・実家の管理ガイド「空き家・実家を解体する」も参考にしてください。
「空き家を解体すると固定資産税が6倍」は正確ではない
空き家について調べると、「解体すると固定資産税が6倍になる」という説明を目にすることがあります。しかし、実際に支払う固定資産税の総額が必ず6倍になるわけではありません。
6倍という数字は、小規模住宅用地に適用される「課税標準を6分の1にする特例」がなくなることから生まれた表現です。
6倍という数字は土地の課税標準から生まれている
例えば、住宅1戸が建っている150㎡の土地があり、固定資産税評価額を仮に1,200万円とします。
| 状態 | 課税標準の単純な比較イメージ |
|---|---|
| 住宅あり | 1,200万円 × 1/6 = 200万円 |
| 住宅を解体 | 住宅用地の1/6特例が適用されない |
※上記は住宅用地特例の仕組みを説明するための単純化した例です。実際の固定資産税は土地の評価額、負担調整措置、自治体の税率などによって決まり、単純に6倍になるとは限りません。
建物分の固定資産税はなくなる
空き家を解体し、翌年1月1日時点で建物が存在しなければ、その建物に対する翌年度以降の固定資産税はかからなくなります。そのため、解体前後を比較するときは土地だけを見るのではなく、次の3つを確認しましょう。
- 解体前の土地の固定資産税
- 解体前の建物の固定資産税
- 解体後の土地の固定資産税
「住宅用地特例がなくなること」と「実際の納税額が6倍になること」は分けて考えることが大切です。
空き家を解体する時期で固定資産税は変わる?
固定資産税では、原則として毎年1月1日の状態が基準になります。そのため、年末までに解体する場合と、年を越してから解体する場合では、翌年度の土地と建物の課税状況が変わることがあります。
| 1月1日の状態 | その年度の考え方 |
|---|---|
| 住宅が残っている | 建物に固定資産税がかかり、土地は要件を満たせば住宅用地特例の対象 |
| すでに建物を解体している | 建物分はなくなる一方、土地の住宅用地特例は原則外れる |
ただし、1月1日に建物の形が残っているだけで、必ず住宅用地特例を受けられるとは限りません。
住宅としての利用状況や建物の状態などによって判断が異なる場合があるため、解体時期を決める前に市区町村の資産税担当へ確認してください。
年の途中で解体してもその年度の建物分は原則変わらない
1月1日時点で課税対象となる建物が存在していれば、その後に解体しても、その年度分の固定資産税が月割りで戻る仕組みではありません。
例えば1月1日に住宅があり、同じ年の6月に解体した場合でも、その年度の建物分は原則として課税されます。
税金だけを理由に解体時期を遅らせない
住宅用地特例だけを見ると、解体時期を遅らせたいと考えることもあるでしょう。
しかし、老朽化した空き家を残している間にも、維持管理費や事故リスクがあります。
- 建物の維持管理費
- 草刈りや庭木管理
- 修繕や保険の費用
- 屋根材や外壁材の落下
- 倒壊や近隣への損害
- 売却のタイミングを逃す可能性
固定資産税だけでなく、空き家を残す費用と解体後の予定まで含めて判断してください。
建て替えの場合は住宅用地特例が続くことがある
古い住宅を解体して新しい住宅へ建て替える場合は、単純に更地のまま保有する場合とは扱いが異なることがあります。
一定の要件を満たす建て替え中の土地については、1月1日時点で旧住宅がなくても、住宅用地として扱われる場合があります。
建て替えの時期や工事状況、所有者などの要件が関係するため、予定がある場合は市区町村へ確認してください。
「解体して土地を売る」「更地のまま所有する」「新しい住宅へ建て替える」では、解体後の状況が異なります。
管理不全空家・特定空家は解体前でも特例が外れる場合がある
固定資産税が上がるのを避けるために、使わない空き家を残しておけばよいとは限りません。
適切に管理されていない空き家について、市区町村から管理不全空家や特定空家として指導を受け、その後に勧告を受けると、住宅用地特例の対象から外れる場合があります。
管理不全空家は、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家として、2023年施行の改正空家法で新たに設けられました。詳しくは国土交通省の住宅用地特例に関する案内を確認してください。
「建物を残せば税金が安い」という理由だけで、管理できない空き家を放置しないようにしましょう。
管理不全空家や特定空家になる流れ、勧告・命令・行政代執行などのリスクは、特定空家に指定される条件と対策で詳しく解説しています。
自治体によっては解体後の固定資産税負担を軽くする制度がある
空き家を解体すると住宅用地特例が外れることが、所有者が老朽空き家を取り壊しにくい理由の一つになることがあります。
そこで、一部の自治体では、一定の条件を満たす空き家を除却した土地について、固定資産税などの負担を一定期間軽減する独自の措置を設けています。
ただし、全国一律の制度ではありません。対象となる空き家、軽減額、軽減期間、申請時期などは自治体によって異なります。
- 老朽化した空き家であること
- 自治体の制度に基づいて解体すること
- 解体後の土地を適切に管理すること
- 所有者や土地利用について一定の条件を満たすこと
国土交通省も、地域の実情に応じた一定の空き家の除却後の固定資産税等に係る負担軽減措置について情報提供しています。詳しくは空き家対策に関する情報提供を確認してください。
解体工事を決める前に、「市区町村名+空き家+固定資産税+減免」などで検索するか、市区町村の空き家担当・資産税担当へ問い合わせましょう。
解体補助金と固定資産税の負担軽減は別の制度
空き家を解体するときは、「解体補助金」と「解体後の固定資産税の負担軽減」を分けて考える必要があります。
| 制度 | 主な目的 |
|---|---|
| 解体補助金 | 解体工事にかかる費用の一部を補助する |
| 固定資産税等の負担軽減 | 解体後の土地にかかる税負担を軽くする |
自治体によっては解体補助金だけを実施している場合もあれば、固定資産税等について別の負担軽減措置を設けている場合もあります。また、解体補助金は工事を契約・着工した後では申請できない制度もあります。
解体業者と正式に契約する前に、空き家がある自治体の制度を確認してください。
固定資産税だけで空き家を解体するか判断しない
解体後に土地の固定資産税が高くなる可能性があっても、空き家を残した方が得とは限りません。解体するか迷っている場合は、少なくとも次の金額を比較しましょう。
| 確認する金額 | 確認する理由 |
|---|---|
| 現在の土地・建物の固定資産税 | 空き家を残す税負担を把握する |
| 解体後の土地の固定資産税 | 住宅用地特例が外れた後の負担を確認する |
| 空き家の解体費用 | 解体に必要な初期費用を把握する |
| 現状のまま売った場合の査定額 | 解体しない選択肢と比較する |
| 更地にした場合の想定売却価格 | 解体費用をかける意味があるか確認する |
| 管理を続ける費用 | 草刈り・修繕・保険などを含めて比較する |
売却予定なら解体前に査定を受ける
空き家を売る予定なら、解体業者へ依頼する前に不動産会社へ査定を依頼しましょう。
古い建物でも、中古住宅として売る、古家付き土地として売る、不動産会社へ現状のまま買い取ってもらう、購入後に買主が解体する条件で売る、といった方法があります。
先に解体すると、現在の建物を利用したい買主へ売る選択肢はなくなります。現状のまま売った場合と、解体して土地として売った場合の手取り額を比較してから判断してください。
その比較方法は、空き家は解体してから売る?そのまま売却?費用・税金・手取りを比較で詳しく整理しています。この記事では「まずは解体せず査定する」という考え方を軸に、古家付き売却と更地売却を比較しています。
売却・買取・解体・譲渡・管理を含めて空き家を手放す方法から整理したい方は、いらない空き家を処分する方法も参考にしてください。
解体費用を誰が負担するかも確認する
相続した空き家では、税金だけでなく解体費用を誰が負担するのかも整理しておく必要があります。一人で所有している場合、複数の相続人がいる場合、共有名義の場合、更地渡しで売る場合などによって、費用負担の考え方が変わります。
特に相続人や共有者が複数いる場合は、解体を決めてから費用でもめないよう、工事前に負担割合を確認しましょう。詳しくは空き家の解体費用は誰が払う?で解説しています。
解体すると決めたら費用相場と見積もりを確認する
解体すると決めた場合は、1社だけでなく複数の見積もりを比較しましょう。
解体工事では、建物本体だけでなく、家財や残置物の処分、庭木や塀・物置の撤去、石綿の事前調査や除去、地中埋設物の撤去、整地などが加わる場合があります。
30坪・50坪など坪数別の目安や、木造・鉄骨・RCの相場、重機が入らない場合などは、空き家の解体費用はいくら?30坪・50坪の相場と高くなるケースで確認できます。
固定資産税の増減だけを細かく比較しても、解体費用そのものに大きな差があれば最終的な負担は変わります。税金と解体費用は必ずセットで確認しましょう。
解体する前に工事費用を確認
解体費用は、建物の構造や面積、道路幅、家財、庭木、塀、地中埋設物などでも変わります。
\ 無料で解体費用を確認する /※見積金額は建物・敷地・地域などの条件によって異なります。
空き家を解体する前に固定資産税を確認する方法
現在いくら固定資産税を払っているかは、毎年届く固定資産税の納税通知書で確認できます。
解体後の税額については、現在の税額を単純に6倍して計算するのではなく、空き家がある市区町村の資産税担当窓口へ確認するのが確実です。
問い合わせるときは、次の情報を用意すると相談しやすくなります。
- 土地の所在地
- 土地の面積
- 現在の固定資産税納税通知書
- 建物の用途と解体予定時期
- 解体後に売却・建て替え・保有のどれを予定しているか
あわせて、空き家解体の補助金や、解体後の土地について自治体独自の負担軽減措置がないか確認しましょう。
解体前のおすすめ順序
①現在の固定資産税を確認する → ②解体後の税額を自治体へ確認する → ③現状のまま売った場合の査定額を確認する → ④解体費用を比較する → ⑤解体するか判断する
空き家解体と固定資産税でよくある質問
空き家を解体すると固定資産税は必ず6倍になりますか?
必ず6倍になるわけではありません。小規模住宅用地では土地の固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されていますが、解体すると建物分の固定資産税はなくなります。
また、実際の土地税額には評価額や負担調整措置なども関係します。解体前後の納税額は市区町村へ確認してください。
1月2日に解体すればその年度の住宅用地特例は受けられますか?
固定資産税は原則として1月1日の状態を基準に課税されます。1月1日時点で住宅用地としての要件を満たしていれば、その年度は住宅用地特例の対象になり得ます。
ただし、単に建物が残っていれば必ず適用されるとは限りません。
また、同じ年度は1月1日時点で課税対象となる建物にも固定資産税がかかります。税金だけを理由に解体日を決めず、自治体へ確認してから判断してください。
解体後に駐車場にすれば住宅用地特例は使えますか?
一般的な月極駐車場やコインパーキングとして利用する土地は住宅の敷地ではないため、通常は住宅用地特例の対象にはなりません。
駐車場として活用する場合は、収入だけでなく固定資産税や整備費、管理費も含めて収支を確認しましょう。
空き家を残しておけば住宅用地特例はずっと使えますか?
必ずしも使い続けられるわけではありません。管理不全空家や特定空家として市区町村から勧告を受けると、住宅用地特例の対象外になる場合があります。
固定資産税を抑えるためだけに老朽化した空き家を放置するのは避け、管理・活用・売却・解体を比較しましょう。
解体後の固定資産税を安くする方法はありますか?
全国一律で利用できる解体後の固定資産税減免制度があるわけではありません。
ただし、一部の自治体では、一定の条件を満たす空き家を解体した土地について独自の負担軽減措置を設けています。工事を始める前に、空き家所在地の市区町村へ確認してください。
固定資産税が上がっても解体した方がよいケースはありますか?
あります。倒壊や外壁落下の危険が高い、継続的な管理費が大きい、更地にすることが売却条件になっているなどの場合は、土地の固定資産税が増えても解体した方が全体の負担を抑えられる可能性があります。
税金だけを見るのではなく、現状の売却価格・解体費用・解体後の土地価格・管理費を比較してください。
まとめ|固定資産税だけで空き家を解体するか決めない
空き家を解体すると、土地に適用されていた住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が上がる場合があります。ただし、「空き家を解体すると固定資産税が必ず6倍になる」という理解は正確ではありません。
- 小規模住宅用地は固定資産税の課税標準が6分の1になる
- 解体後は原則として住宅用地特例が外れる
- 一方で建物分の固定資産税はなくなる
- 固定資産税は原則として毎年1月1日の状態を基準にする
- 管理不全空家・特定空家は解体前でも特例を失う場合がある
- 一部自治体では解体後の負担軽減措置がある
空き家を残すか解体するか迷っている場合は、現在の固定資産税、解体後の税額、解体費用、現状の売却価格、更地での売却価格、今後の管理費を確認しましょう。
このとき、固定資産税の基本は空き家の固定資産税、解体費用は空き家の解体費用、売却前に解体するかどうかの判断は空き家は解体してから売る?そのまま売却?で、それぞれ詳しく確認できます。
売却する可能性があるなら、先に建物を壊すのではなく、現在の状態で査定を受けてから解体の必要性を判断することが大切です。
空き家について「管理する・活用する・解体する・手放す」のどこから考えればよいか分からない場合は、空き家・実家の管理ガイドやいらない空き家を処分する方法から整理してみてください。

この記事を書いた人
地方生活サポートハウス編集部
地方暮らしや住宅メンテナンス、
空き家管理に関する情報を発信しています。
実体験や専門家監修をもとに、
分かりやすい情報提供を心がけています。
