相続した実家や長期間使っていない空き家に、家具や家電、生活用品が大量に残っていると、
- 片付けないと査定を受けられないのか
- 家財を残したまま売却できるのか
- 売却前に処分費用を支払うべきか
- 遠方に住んでいて片付けに行けない
と悩む方も多いのではないでしょうか。
先に結論をお伝えすると、家財や残置物が残っていても空き家の査定は受けられます。
| 空き家の状況 | 最初に検討する方法 |
|---|---|
| まだ査定を受けていない | 片付ける前に現状のまま査定を受ける |
| 仲介で一般の買主へ売りたい | 内覧や引き渡しに必要な範囲を片付ける |
| 家財が多く自分では処分できない | 残置物に対応する買取を比較する |
| 遠方に住んでいて作業できない | 不動産会社と片付け業者へ一括して相談する |
| 買主が家財を引き取る予定 | 残す物と処分する物を契約書で明確にする |
| 解体する予定がある | 家財処分と解体工事の費用を分けて確認する |
ただし、仲介で一般の購入希望者へ売却する場合は、内覧や引き渡しまでに片付けを求められることがあります。
一方、不動産会社による買取では、物件や会社によって、家財を残した状態で相談できる場合があります。

査定前にすべて処分する必要はありません。
片付け費用を支払う前に、現在の状態でどのように売れるかを確認しましょう。
この記事では、空き家を片付けずに売る方法、仲介と買取の違い、片付ける範囲やタイミング、処分費用の考え方を解説します。

この記事の監修者
小野|不動産監修者
・不動産業界歴14年
・宅地建物取引士(宮崎県登録)
・FP2級
・取引実績:約300件
・専門分野:空き家売却・相続不動産・不動産査定・賃貸管理
不動産売買、売買仲介、賃貸管理業務に従事。
これまで約300件の不動産取引に携わり、空き家や相続不動産に関する相談・売却案件も多数担当。
本記事では実務経験と保有資格をもとに監修を行っています。
空き家は片付けずに売れる?

空き家に家財が残っていても、査定や売却の相談はできます。
ただし、「片付けずに売れる」という言葉には、次の異なる状態が含まれます。
- 家財がある状態で査定を受ける
- 家財がある状態で売却活動を始める
- 一部の家財を残したまま買主へ引き渡す
- 家財の処分を不動産会社や買主に任せる
査定を受けられることと、すべての家財を残したまま引き渡せることは同じではありません。
どの範囲まで片付ける必要があるかは、仲介か買取か、買主が誰か、売買契約でどのように定めるかによって変わります。
査定前にすべて片付ける必要はない
不動産会社は、家財が残っていても、次のような情報から査定できます。
- 土地の所在地や面積
- 建物の構造や築年数
- 道路との接し方
- 周辺の取引事例
- 確認できる範囲での建物状態
家財をすべて処分したあとで査定額が想定より低かった場合、先に支払った片付け費用を回収できない可能性があります。
まず現状で査定を受け、売却方法と必要な片付け範囲を確認するのが基本です。
仲介では片付けた方が売りやすい場合がある
仲介は、不動産会社が広告を出し、一般の購入希望者を探す方法です。
家財が大量に残っていると、次の問題が起こることがあります。
- 部屋の広さが分かりにくい
- 床や壁の状態を確認できない
- 広告用の室内写真を撮りにくい
- 内覧者が生活をイメージしにくい
- 臭いや害虫が気になる
そのため、仲介では査定を受けたあと、広告撮影や内覧に必要な範囲を片付ける方法があります。
すべてを一度に処分するのではなく、玄関、廊下、水回り、主要な居室など、購入希望者が確認する場所から整理すると負担を減らせます。
買取では家財を残したまま相談できる場合がある
買取では、不動産会社が空き家を直接購入します。
一般の購入希望者を探す必要がないため、会社や物件によっては次の状態でも相談できます。
- 家具や家電が残っている
- 衣類や生活用品が大量にある
- 雨漏りや設備の故障がある
- 長期間管理されていない
- 仲介で売れずに残っている
ただし、家財の処分費用が完全に無料になるとは限りません。
不動産会社が負担する処分費用や作業費が、買取価格の算定に含まれることがあります。
「家財を残せるか」だけでなく、家財がある場合と片付けた場合の買取価格も確認しましょう。
残置物がある空き家を売る4つの方法

査定後に必要な範囲だけ片付けて仲介で売る
売却価格を重視する場合は、仲介で一般の購入希望者を探す方法が候補になります。
最初に現状のまま査定を受け、その後に不動産会社と相談しながら必要な範囲を片付けます。
優先して整理したい場所は次のとおりです。
- 玄関から各部屋までの通路
- リビングなど主要な居室
- キッチン、浴室、トイレ
- 雨漏りや劣化を確認する場所
- 分電盤や給湯設備の周辺
すべての収納を空にできなくても、建物の状態や部屋の広さを確認できれば、売却活動を始められる場合があります。
家財の処分を条件に仲介で売る
売買契約を締結したあと、引き渡しまでに売主が家財を処分する方法です。
購入希望者が決まってから片付ければ、売れない段階で高額な処分費用を負担するリスクを抑えられます。
ただし、引き渡しまでの期間が短いと、片付け業者を確保できないことがあります。
売買契約では、次の内容を確認してください。
- 売主が撤去する物の範囲
- 買主が引き取る物の範囲
- 家財を撤去する期限
- 撤去できなかった場合の対応
- 処分費用を誰が負担するか
残置物を含めて不動産会社に買い取ってもらう
片付ける時間や費用を確保できない場合は、残置物に対応する不動産会社の買取を検討します。
特に次のような方には選択肢になりやすい方法です。
- 空き家が遠方にある
- 家財が多く自分では整理できない
- できるだけ早く手放したい
- 建物の老朽化も進んでいる
- 仲介で長期間売れていない
買取価格だけでなく、残置物の処分、契約から引き渡しまでの期間、追加費用の有無を比較します。
買主の同意を得て一部の家財を残す
家具や家電の中には、買主がそのまま使用したいと考える物もあります。
- エアコン
- 照明器具
- カーテン
- 収納家具
- 庭の物置や屋外用品
ただし、売主が不要だからという理由だけで、一方的に残してよいわけではありません。
残す品目、所有権の扱い、故障した場合の対応、不要になった場合の処分負担を、契約前に確認します。
空き家を片付けるタイミング
| タイミング | 行うこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 査定前 | 貴重品や重要書類を探す | 家財をすべて処分しない |
| 査定後 | 売却方法と片付け範囲を決める | 仲介と買取を比較する |
| 広告掲載前 | 写真撮影に必要な範囲を整理する | 主要な部屋と通路を優先する |
| 内覧前 | 臭い、害虫、転倒の危険を確認する | 安全に見学できる状態にする |
| 売買契約時 | 残す物と処分する物を決める | 口約束ではなく書面に残す |
| 引き渡し前 | 契約で決めた範囲を撤去する | 処分完了を不動産会社と確認する |
査定前は貴重品と書類の確認を優先する
査定前に優先したいのは、不用品を捨てることではなく、残しておくべき物を探すことです。
- 権利証や登記識別情報
- 固定資産税の納税通知書
- 建築確認やリフォームの資料
- 預金通帳、印鑑、現金
- 保険証券や契約書
- 写真、手紙、形見などの思い出の品
処分後に取り戻すことは難しいため、親族にも確認しながら仕分けましょう。
内覧前はすべて空にする必要はない
内覧前に必ず空き家全体を空にしなければならないわけではありません。
ただし、購入希望者が次の点を確認できる状態にしておく必要があります。
- 部屋のおおよその広さ
- 床や壁の劣化
- 水回りの状態
- 雨漏りや傾きの有無
- 収納や設備の状態
足元が見えないほど物がある場合は、内覧中の転倒事故を防ぐためにも通路を確保してください。
空き家の片付けにかかる費用
空き家の片付け費用は、間取りだけでなく、家財の量、作業人数、車両、階段の有無、道路状況、処分する品目によって変わります。
編集部が複数の一般的な料金例を基に整理した目安は、次のとおりです。
| 間取り | 片付け費用の目安 |
|---|---|
| 1R・1K | 3万~8万円程度 |
| 1LDK | 5万~15万円程度 |
| 2LDK | 10万~20万円程度 |
| 3LDK | 15万~30万円程度 |
| 一戸建て | 20万~50万円以上 |
※上記は編集部による一般的な目安です。地域、間取り、家財の量、搬出経路、階段、車両の進入条件、処分品目、作業人数などによって費用は大きく変わります。実際の金額は現地見積もりで確認してください。
相続した一戸建てでは、物置、倉庫、庭、屋根裏などにも物が残っていることがあり、想定より高くなる場合があります。
家財がある場合とない場合の査定額を比較する
片付けるべきか迷う場合は、不動産会社へ次の2つを確認します。
- 家財が残っている状態での売却条件
- 家財を片付けた場合の売却条件
例えば、片付け費用が30万円かかる一方で、片付けても売却価格がほとんど変わらないのであれば、残置物対応の買取を選ぶ方が負担を抑えられる可能性があります。
反対に、片付けることで内覧しやすくなり、仲介で売れる可能性が高まるなら、費用をかける意味があります。
空き家の不用品を処分する方法

自治体の粗大ごみ回収を利用する
自分で少しずつ片付けられる場合は、空き家がある市区町村のごみ収集や粗大ごみ回収を利用すると、費用を抑えやすくなります。
ごみの分別方法、持ち込み施設、予約方法、空き家所有者が利用できる条件は自治体によって異なります。
空き家がある自治体の環境担当窓口や清掃施設へ確認してください。
リユースできる物を売却する
状態のよい家具、家電、食器、工具、趣味用品などは、リユースショップなどで買い取ってもらえる場合があります。
ただし、買取可能な品目や年式は店舗によって異なります。
大量にある場合は、出張査定の有無も確認しましょう。
許可や委託を確認して業者へ依頼する
家庭から出る家具や生活用品などの廃棄物を収集・運搬するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可または市区町村からの委託が必要です。
産業廃棄物処理業や古物商の許可だけでは、家庭から出る廃棄物を回収できるとは限りません。
環境省も、家庭の廃棄物を無許可の回収業者へ渡さず、市区町村の案内するルールで処分するよう注意を呼びかけています。
詳しくは環境省の無許可の回収業者に関する案内を確認してください。
家電4品目は決められた方法で処分する
次の家電4品目は、家電リサイクル法に基づいた方法で処分します。
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
一般の粗大ごみとして回収されないため、購入した販売店、買い替える販売店、自治体が案内する方法などを確認してください。
詳しくは環境省の家電製品のリユース・リサイクルに関する案内を参考にしてください。
片付け業者へ依頼するときの確認ポイント
- 現地を確認した見積書があるか
- 運搬費、処分費、人件費が明記されているか
- 追加料金が発生する条件
- 一般廃棄物の処理方法や提携先
- 買取できる品目の扱い
- 作業後の清掃が含まれるか
- キャンセル料が発生する時期
「定額」「積み放題」「無料回収」などの広告だけで判断せず、作業前に総額と追加料金の条件を確認してください。
国民生活センターには、広告の金額と実際の請求額が大きく異なる不用品回収サービスの相談が寄せられています。
詳しくは国民生活センターの不用品回収サービスに関する注意喚起を確認してください。
空き家を片付けずに売るときの注意点
残す家財を口約束だけで決めない
買主が「家具はそのままでよい」と話していても、口約束だけで引き渡すと認識の違いが起こる可能性があります。
残す物は一覧や写真で記録し、売買契約書や付帯設備表などで確認します。
建物の不具合を家財で隠さない
家具で見えない場所に雨漏り、腐食、シロアリ被害などがある場合は、不動産会社へ早めに伝えましょう。
売却に不利になる情報だからと隠すのではなく、分かっている範囲を整理し、契約条件へ反映することが大切です。
処分してはいけない物を親族に確認する
相続した実家では、所有者本人にとって不要に見える物でも、ほかの相続人にとって大切な品である場合があります。
写真、手紙、仏壇、位牌、骨董品、貴金属などは、処分前に親族へ確認してください。
解体業者へ家財処分をすべて任せない
家庭から出る家具や生活用品と、建物を解体して生じる廃材では、廃棄物の扱いが異なります。
解体見積もりに家財処分が含まれている場合は、処分方法、費用、対応業者を確認しましょう。
空き家の片付けと売却でよくある質問
ゴミ屋敷のような状態でも査定できますか?
室内に大量の物が残っていても、不動産会社へ査定を相談できます。
ただし、建物内部を確認できない場合は、査定の精度が下がったり、確認できる範囲での査定になったりすることがあります。
残置物対応の買取会社も含めて相談しましょう。
仏壇や位牌を残したまま売却できますか?
不動産会社へ相談することはできますが、買主の同意なしに残したまま引き渡すのは避けてください。
親族や菩提寺などにも確認し、移動、引き取り、供養などの方法を検討します。
片付け費用を売却代金から支払えますか?
業者や契約方法によっては、売却後に精算できる場合があります。
ただし、すべての会社が対応しているわけではありません。
支払う時期、手数料、売却できなかった場合の負担を契約前に確認してください。
残置物があると売却価格は下がりますか?
必ず下がるとは限りませんが、買主や不動産会社が処分費用を負担する場合は、その費用が価格へ反映されることがあります。
家財がある場合と片付けた場合の条件を比較して判断しましょう。
売却するか決めていなくても査定できますか?
売却を決める前でも査定を依頼できます。
現状の価値、片付け費用、管理を続ける費用などを比較すると、売却するかどうかを判断しやすくなります。
まとめ|査定前に空き家をすべて片付ける必要はない
空き家に家財や残置物があっても、現状のまま査定を受けることはできます。
売却方法は、次の順番で検討しましょう。
- 貴重品や重要書類を確認する
- 家財を残したまま査定を受ける
- 仲介と買取の条件を比較する
- 必要な片付け範囲と費用を確認する
- 残す物と撤去する物を契約書で明確にする
仲介では内覧や引き渡しまでに片付けが必要になることがありますが、買取では残置物を残した状態で相談できる場合があります。
先に高額な処分費用を支払わず、現在の状態でどのように売却できるかを確認してから片付けを進めることが大切です。

この記事を書いた人
地方生活サポートハウス編集部
地方暮らしや住宅メンテナンス、
空き家管理に関する情報を発信しています。
実体験や専門家監修をもとに、
分かりやすい情報提供を心がけています。




